大東岳(標高1,365m)

昨秋(2013)、仙台神室から眺めて気になっていた大東(だいとう)岳(写真左)。
先日、某山頂でお会いした宮城県の方に色々と情報を聞けたので、忘れないうちに行ってみた。

秋保温泉から県道62号を西(秋保大滝方面)へ20km弱進んで行くと、秋保ビジターセンターの建物が正面に見えてきます。
営業時間前なので防犯装置が作動したらどうしよう?と躊躇しながら扉を押すと、エントランスとトイレは入館可能で、登山ポストもありました(通年利用可能かは不明です)。
トイレをお借りしてから、更に0.3kmほど西へ進むと、右側に10台ほど駐車出来そうなスペースと登山ポストがあり、ここが登山口のようです。
7時頃で6~7台の入りでした(ビジターセンターの県道を挟んだ向かいにも駐車場があります)。

まずは案内板でコースの確認です(板の距離表示はルート上の各案内板と必ずしも一致する訳ではありません、参考値としてお考え下さい)。
登りは本小屋(現在地)から立石沢などを経て(表コース:5.3km)大東岳山頂へ、下りは樋ノ沢避難小屋を経て大行沢沿いを本小屋へ(裏コース:8.5km)戻ります。
大東岳登山の一般的な周回コースだそうですが、計13.8kmと自分的には長丁場なので、場合によっては表コースの往復も視野に入れながらの歩きです。
ちなみに本小屋の標高は約360mなので、山頂(標高1,365m:最近1m低くなったらしいです)との高低差は、約1,000mです。
弱い風の吹く曇り空の下、準備して出発です。

はじめは杉林の中の緩やかな登りで、道沿いの草花を眺める余裕もあります。




エンレイソウ/ホウチャクソウ
チゴユリ/ツクバネソウ
植物の種類が豊富で花だけでなく、「神経衰弱」が出来そうなくらい色んな形の葉っぱが道沿いに出ており、歩いてて飽きません(多分)。

登山口から10~15分で沢(小行沢)を渡ります。
この辺りから少しづつ自然林の中の歩きになりますが、まだまだ緩い登りです。

山頂までの道沿いには、各合目毎にこの石標があるので、目安になりますし、励みにもなります。

2合目を過ぎしばらく行くと、開けた所に出ます。立石沢のポイント(登山口から2.3km)です。
この後、沢沿いの道を少し歩き、この沢(立石沢)を渡ります。
普通に歩けば問題無いと思いますが、自分は間違って沢を真っ直ぐ登ってしまいました(100mほどですけど)。
※いつも国土地理院さんの1:25000の地図を利用させて頂いているのですが、地図上の沢筋を表す青い線は簡易的な表示なんだ(特に源頭部)と、この時初めて気付かされました。
皆さんお気をつけ下さい・・・・・って、登山者の常識?ですか・・・・・そうですか、そんなことも知らずに登ってるんですよこの人は・・・・・、ホントに困った人です、自分は・・・・・。
幸いにして沢から道は離れておらず、赤ペンキの印が見えたのですぐ復帰できましたが、ちょっと焦りました。反省。

3合目辺りでは、又、杉林の道になり、すごろくで言う「ふりだしに戻る」的な感覚になります。

杉林を抜けると、柔らかな緑の木々に包まれて、気分新たに再スタート(やっぱりふりだしに戻ったのかも?)です。
この辺りから、ようやく登山らしい傾斜のある道になります。

新緑の道を登って行くと、シラネアオイが咲いてました。
初めてお目にかかれたのもあり、つい会釈をしてしまうほどの綺麗な花(花びらに見える薄紅色の部分はホントはがくらしい)でした。
近くの谷筋に数本見かけましたが、近づき難い場所にばかり咲いており、表コースの間近で見れたのはこれ1本だけでした。ラッキー(^^♪

道は至って普通の登山道で、4合目(距離的には表コースのほぼ中間地点)を通過する頃には、ゼイゼイ息があがり始めます。
なんとか5合目に着き、休憩にします。




5合目の石標/シロヤシオツツジ
ムラサキヤシオツツジ/ミヤマシキミ
本来ならここから船形山が見えるらしいのですが、その方向は雲で見えず。
それどころか、急に風が強まり、パラパラと雨も落ちてきました。
今日はここで引き返そうと思いながら雨具の準備に手間取っていると、すぐに雨は上がり空も明るくなりました。
木々に覆われ見えなかったのですが、凄い勢いで雲が流れているようです。
ザックに雨具を押し戻し、山頂へ向け歩き出します。

5合目からは稜線を歩きます。
鹿打林道分岐を経て7合目辺りまでは、木の根が張り出した急な登りが続きます。
この後控える「鼻こすり」が表コース最大の難所と言われてますが、自分的にはこの区間が一番きつく感じました。

途中、苦しくて振り向くと、木々の間に太白山(写真左)や太平洋が確認できました(写真はズームしてます)。

7合目から東清水分岐までは、こぶし平と呼ばれる平坦な所で、木々の向こうに大東岳の山頂部がチラッと見え出します。

東清水分岐を過ぎると、登山道にも残雪が・・・・・。
この先「鼻こすり」が始まります。

「鼻こすり」は急で段差がありますが距離は短いので、看板にある通り「がんばってね!」
自分は、こするほど高い鼻を持ち合わせていないので心配ありませんでしたが、鼻の高い方、特に天狗になっている方はお気をつけ下さい。

9合目を通過。疲れのせいか、それとも老眼か、「急」合目に見えた。

登って行くと残雪が行く手を遮ってました。
先行者の踏跡を追って登ります。
踏跡の無いところに足を置いてみると、硬くて滑りやすい状態で、滑落の危険を感じながらの登りです。
時折、強風も吹いてくるので更に恐怖です。

こういう危険なところに限って眺めが良いのも困ります。
下に見える山々は晴れていますが、上空から雲が湧き出て、遠く仙台市内の風景を消していきます。

ビビリながらクリアすると平坦になり、山頂か?と思わせますが、ガスってきた道をもう少し歩きます。

低木と笹の中を行くと、登山口から3時間と5分、パッ!と開けて、大東岳山頂(標高1,365m)です。
「わぁー!真っ白な景色で素敵なところだな~」って、ガスで眺望は無し・・・・・残念。
予報によると天気は回復傾向なのですが、風が冷たく寒さが応えるので、3分ほどの滞在で祠に手を合わせてから下山します。
下りは裏コース、山頂から西にある樋ノ沢へ向かいます。

平坦な道を行くと、再び残雪が・・・・・、踏跡が薄くて方向が?、地図で確認すると直進らしいですが、今一自信が持てません。
誰か来るだろうと2~3分待機します。
するとトレランの方が現れて、「真っ直ぐ」と教えてくれたので一安心。
後を追おうとしたら、跳ぶように雪上を駆け抜け、アッと言う間にガスの中に消えていきました。
「早っ!」、自分は平地でもあのスピードには付いて行けない・・・。
残雪の上を進み、道が見えてきてホッとしますが、ぬかるみが酷いので注意して歩きます(僅かの距離でした)。

平坦な道が終わると下りに入り、まずは階段です。


陽射しを待つカタクリや、ヤマザクラ(ミネザクラ?)、これから開花を迎えるであろうアズマシャクナゲやマイヅルソウなどを見る余裕を取り戻します。

少しの間でしたが、ガスが切れて、山形盆地が見えて、「オォォー!」。

これから下る谷の向こう側に、新緑と残雪が瑞々しい糸岳(かな?)が見えて、もう一回「オォォー!」。
自分の写真では伝えられませんが・・・・・・・。

裏コースの難所と言われる、あの弥吉さん(誰?何者?)も転がり落ちた「弥吉ころばし」に入ります。
難所の割には、ユーモラスなネーミングですが、気が抜けない急斜面です。
平たい角ばった石が多く、それが重なった所を踏むと「ズルッ」と滑り易いのでお気をつけ下さい。
又、湿った土も滑り易く、段差もあるので、脚に負担がかかり、自分はこの下りで明日の太腿筋肉痛確定です。
※実は、10mも下らないうちに一回こけたので、その後、足下に集中した為写真はありません。

急な下りが終わる頃、雪渓が目に飛び込んできました。
残雪に新緑が映え、見ているだけで心身共にリフレッシュ!(されたような気がします・・・)
この辺りから、山頂前後から会う度に言葉を交わし、等間隔で歩いて来た3名(皆さん単独)の方々と、同行させて頂く格好になります。
同行とは言っても、明らかに引っ張ってもらうばかり(足手まとい)でしたけど・・・・・。

雪渓下りは、はじめ怖々でしたが、慣れてくると滑りながら下る楽しさも・・・・・、ただスピードが出るとやっぱり怖っ!

積雪は2mほど有り、下は水が流れているので落ちたら大変です。

楽しい雪渓歩きも終わり、大きな石の転がる沢に沿って下りていきます。

雪渓の終盤辺りからずーっと右(北)側の斜面に、ニリンソウが群生してます。
お花畑で足を止め、しばし癒されます(男4人ですが・・・・・)。

沢を下り終えると、「小屋」と呼ぶにはちょっと大き目の樋ノ沢避難小屋に着きます。
ブユ(ブヨ)を気にしながらの昼飯でしたが、御三方から色々な山の話が聞けて有意義な時を過ごせました。

小屋周辺には滝やナメ沢もあるので、迷わない程度にウロウロキョロキョロ景観を楽しんでから、登山口へ向け残り6km、時折、陽も射し始めた新緑の道を登山口へ戻ります。

樋ノ沢から登山口への道は細く狭く、常に右下に大行沢(おおなめさわ)の谷の深さを感じながらの歩きなので、油断は禁物です。

この迂回路、ちょっとしたアップダウンがあり、疲労した足にこたえます。

ちょっとした事で怪我しそうな岩場もあります。ご注意を!

大行沢に流れ込む支流も渡りますが、滑りやすかったり、狭かったりで、もし落ちたら・・・・・ゾッとするような場所もあるので、集中して歩きます。
デジャブか?と思ってしまうように、似たような沢が現れますが、慎重にクリアして行きます。


シロヤシオツツジ/山ツツジ
シラネアオイ、ニリンソウ、イチゲなど草花も豊富です。

イワカガミも咲いてましたが、こっちを向いてくれない・・・・・・・、回り込んで撮ればいい事ですが、その先は谷底だったりするので、後姿で諦めます。
所々に独特な景観も見られます。

裏磐司岩:ベンチがあるので休憩ポイントに適しています。

雨滝:文字通り、雨粒のように流れる滝ですが、風が吹くと霧になってしまいます。
意外な所に祠があるので探してみてください。
雨滝から白滝入口を経て少し行くと、道が広がり(ここからも長く感じます)、やがて登山口に戻りました。
樋ノ沢避難小屋から登山口までは、とにかく長~く感じられ、体力的よりも、精神的にしんどいかなと思います。
今回は、同行した御三方に引っ張って頂いたお陰で、集中した歩きで無事に予定時間内に戻って来れました。
本当にこの3名の方々にはお世話になり、感謝感謝です。
他力本願的な山歩きになってしまいましたが、里山っぽいところあり、高山っぽいところあり、雪渓あり、渓谷あり、花ありと、大東岳はテーマパークのような山でした。
行ってみた日 2014.5.18
行程
本小屋登山口→(90分)→五合目(休憩10分)→(90分)→大東岳山頂→(100分)→樋ノ沢避難小屋(休憩40分)→(150分)→本小屋登山口
以上8時間の行程でした。(5分未満の小休憩は含んでませんが合計すると30分以上休んでると思います)

国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)大東岳
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