吾妻山麓 ~谷地平のワタスゲ(浄土平から)~
梅雨に入り、休みに出歩く機会も減り、そろそろ山の道具にカビが生えそうな気配・・・・・、「これも日本の風情だなー」なんて悠長な事を言っていると、心にまでカビが生えてきそうなので(既に生えてるかも?)、出掛けてみた。
まずは磐梯吾妻スカイラインで浄土平へ到着。

本日のコース案内を。
写真地図右の浄土平(標高約1,600m)から真ん中の姥ヶ原(標高約1,770m)を経て左の谷地平(標高約1,500m)へ向かい、おにぎり2個とお菓子を食べながら(←ここが重要?)ワタスゲを見て(←これが目的)、同じ道を戻る予定です。
準備してしゅっぱーつ!

浄土平周辺は3週間前とは違い、イワカガミなどの花々で明るい雰囲気になりました。
真っ直ぐ姥ヶ原へ向かうはずでしたが浄土平の樋沼方向に目を向けると、
これから谷地平へワタスゲを見に行くのに、別にここで見なくても・・・・・、とは思いましたが、ついつい足が向いてしまいます。
おいしいラーメン屋さんへ行く前に、近所のラーメン屋さんで腹ごしらえしてから出掛ける心境です。って、どんな心境だ。

浄土平のワタスゲと一切経山
朝は2~3組でしたが、戻って来た頃はこの辺りに人だかりが出来てました。
ワタスゲが砂糖ならば、人はアリンコ・・・そんな感じでした。

これから向かう姥ヶ原方面は、ガスに包まれているようです。
蓬莱山は見えてますが、左に見えるはずの東吾妻山は見えません。
予報では昼までは晴れたり曇ったりで、午後から所により雷雨ですがどうなりますか・・・・・?

マイヅルソウ

姥ヶ原までには木の階段があります。
「トントントン!」とリズム良く行きたいところですが、実際は「トントン、ゼーゼー、トントン、ハーハー」と息が乱れて、軽快なリズムは刻めません。

姥ヶ原に出ると、チングルマに足止めされます。
特に鎌沼への分岐から東吾妻山への分岐の間では木道の両サイドにたくさん咲いてるので、シャッターを押す割にはやたらとピンボケが多い写真をたくさん撮らされて(自分だけか?)、なかなか前へ進めません(^^ゞ
でも、キレイですよー!

姥ヶ原の水の流れた跡には、クマやシカの足跡が見られることもありますが、この日は人間の足跡が・・・・・。
この辺り、木道以外は立入禁止です!・・・・・・・、それとも最近の動物は靴を履くのかな?

姥地蔵様(姥神様)のところまで来ました。
手を合わせ道中の無事と、サッカーW杯日本の決勝T進出を祈り、谷地平へ下って行きます。
ここで、同じく谷地平へ向かう方々とお会いして、心強くなります。
こちらの方々のおかげで往復とも一定の距離感を保ちながらでしたが、一人で歩くよりも精神的に楽な歩きとなり、ありがたい思いでした・・・・・今にして思えば、姥地蔵様のお導きだったのかも?。
この日、姥ヶ原~谷地平間でお会いしたのは計7組(内ソロ5名)の方々でした。

姥ヶ原から谷地平へは、オオシラビソなどの樹林に囲まれた薄暗い(暑さは軽減・湿度高め)道を歩きます。
道上の岩や木の根はとても滑り易く、ぬかるみも多いので集中しての歩きです。
笹や倒木などは刈り払いされており迷わないとは思われますが、残雪期、濃霧時や大雨後は印(リボン等)を確認しながら歩きたいところです。
集中してるので、道の写真は帰りの楽しみにとっておきます・・・・・全然楽しくない・・・。

下りていくと、左前方から沢音が聞こえ崖(谷)の上に出て姥沢が下に見えます。
この辺りから、あまり高度も下がらないので谷地平が遠く感じます。

道沿いにはミズバショウも見られました。

左に沢音を聞きながらの歩きですが、しばらく行くと右からも聞こえてきて道の傾斜がきつくなり、沢を2本渡ります。

アズマシャクナゲ

樹林帯が終わり短い木道を歩くと姥沢の岸に出て、反対岸の先に避難小屋の三角屋根が見えてきます。
滑らないよう濡れないよう慎重に渡ったつもりでしたが、若干の浸水・・・・・、慎重さが裏目に出て、潜ってる石に足を掛けていたのがいけなかったようです。
まぁ、気にならない程度の浸水だったのでギリギリセーフですかね?

タンポポに囲まれた谷地平避難小屋内を覗き込むと、窓が目のように見えて少々怖い感じでしたが、きれいな小屋でした。

ハクサンチドリ

河原に出て、もう一回渡る。
ここが難所で、5m戻り助走をつけて思いっきり踏み切り一っ跳び・・・・・・・は無理っぽいので、真ん中の石まで行ってみますが、その先が微妙な距離で荷物を背負って飛ぶ自身が無い。
少し考えて・・・・・、ちょっと下流から石を渡り、写真左上に見える倒木に取り付き、どうにか渡ります。
滑って転ぶリスクを考えれば、最初から裸足で渡るのも有りかと思いますが、その際、靴を忘れないで下さい。

笹原を行くと、分岐が見えてきます。
左(南)へ行くと駕篭山稲荷方面、右(北)が東大巓、谷地平方面です。
右折してトコトコ階段を上がって行きます。
ん?・・・・・何か視線を感じてビビリます・・・・・恐る恐る右手を見ると・・・・・

ミズバショウでした。
「ホッ」として、思わず「こんにちは」と挨拶してしまい、自分のビビリ加減に情けなくなり、鼻で笑ってしまいました。

長い木道の入口に差し掛かると、コバイケイソウの鮮やかな緑色の葉がお出迎え。

その先にはお目当てのワタスゲが・・・・・、 「オォー!」

白い木道の先には、左から昭元山、烏帽子山、ニセ烏帽子山と連なります。
ここで一回深呼吸!

カッコウやホトトギスの声が湿原に響き渡ります。
池塘からは「ゲコゲコ」とカエルの声も聞こえてきます。
負けずに「ギュルギュルギュル~」と、自分の腹の声もそよ風に乗り軽やかに奏でます。
木道が複線の所に腰を落ち着かせ、予定通り、おにぎり2個とお菓子で腹を満たします。
湿原なので虫の多さも警戒して行きましたが、ブユ(ブヨ)に囲まれるような事はありませんでした。
雲が多い空模様でしたが、時折陽射しもあり、風は弱く、暑くも無く寒くも無く絶好の昼寝日和です。
さすがにここで寝てしまうと、クマの餌になり兼ねないので(不味そうでクマも手を出さないか・・・・)、 寝ませんでしたけど、幸せなひとときです。

ふわふわ~、ゆらゆら~、ワタスゲを見てると、日頃のストレスや悩みが、良い意味で「どうでもいいや!」って気分になり浄化されて、気持ちが軽~くなります。
自分は人間的に軽いので、これ以上気持ちが軽くなると飛んで行きそうですが、体重の重さでバランスを補っているのでご心配なく・・・・・(意味不明)。

1時間以上休憩して、現実の世界に戻ります。
何度も何度も後ろを振り返りながら・・・・・・・。
さて、来た道を戻る帰り道ですが、難所である2度の姥沢渡りをギリギリセーフ(若干の浸水)で切り抜けます。
その後は姥ヶ原まで登りです。

自分の苦手な根っ子帯の登り・・・・・、こんな道、通りましたっけ?
往路の下りでは急傾斜に感じませんでしたが、いざ登るとなると結構な急登です。

岩場も急傾斜で緑の苔が滑るので、ゆっくり慎重に登ります・・・・・、どう頑張っても急げませんけどねー。

長い登りは精神的に辛い(>_<)
こんな時は、自分はマシーン(ロボット)なんだと思い込ませ、「ガシャン!ガシャン!」とそれらしい音を発しながら、登ります。
これが結構効果を発揮するんですよ~、但し、周りに人が居る場合は白い目で見られます。
それから、すぐ電池(燃料)切れで、3分と持たないのが難点です・・・・・。

バイカオウレン

汗びっしょりになりながらも、無事に姥ヶ原まで戻り一安心。
鎌沼の畔を歩き、沼の南側のベンチで甲羅干しを兼ねて休憩します。
風に吹かれてパンを頬張りながら休んでいると、「ドーン、ドーン」と遠くから雷鳴が・・・・・、空を見回すと西から黒い雲も近付いてます。
「こりゃいかん!」と、慌てて(その割りにはパンを食べてから)浄土平へ戻ります。

吾妻小富士の周辺からも雲が湧き出してきました。
この後、雨も雷も落ちることなく、無事に浄土平に到着して今回の歩きは終了です。

到着後数分で浄土平は雲の中・・・・・・・、あっと言う間に視界10mほどになって真っ白け・・・・・、最後は山の目まぐるしい天候の変わり様に恐怖を感じると共に、真っ白な綿毛に包まれたワタスゲの種の気持ちもちょっと分かった気がした、谷地平訪問記でした。
行ってみた日 2014.6.21
行程
浄土平(散策15分)→(50分)→姥ヶ原(休憩10分)→(10分)→姥地蔵→(75分)→谷地平避難小屋→(25分)→谷地平(休憩70分)→(15分)→谷地平避難小屋→(85分)→姥地蔵(休憩10分)→(15分)→鎌沼(休憩15分)→(35分)→浄土平
以上7時間10分(内休憩時間1時間45分)の行程でした。

国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)谷地平
詳しくはこちらへ⇒浄土平ビジターセンター
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