魔女の瞳と一切経山 ~紅葉に胸躍る道~
「一切経山大穴火口で小規模な噴火の可能性があるかも?」って言うんで、警戒レベルが2(火口周辺規制)に引上げされたのは昨年(2014)の12月12日。
浄土平から一切経山へ登れない事態に(浄土平~酸ヶ平区間、酸ヶ平避難小屋~一切経山頂区間が立入禁止です)。
「どーせ、3ヶ月もしないうちに解除されるだろー」なんて思ってたら・・・・・甘かった。もうすぐ1年になる。

吾妻小富士から見た一切経山(2015.4月撮影)
写真左が大穴火口、右端が山頂です。
「やはり年に1度は一切経山から魔女の瞳(五色沼)を見ておかなくちゃ」、と思い立って不動沢登山口から行ってみた。
磐梯吾妻スカイラインを高湯温泉側から不動沢橋(つばくろ谷)へ。
それでこの道(スカイライン)ですけど、今年は災難が色々あって・・・・・、2015.10.5現在の状況を書いておきます。
●通行可能時間 7:00~17:00(17:00~翌日7:00はゲートが閉まります)
●不動沢橋⇒浄土平間は高湯(福島)側から土湯峠(猪苗代)側への一方通行です(土砂災害の為)。
●高湯~不動沢橋間、土湯峠~浄土平間は往復できます。
●浄土平駐車場は普通車410円です。
●例年ですと11月中旬頃には冬季閉鎖になります。
●その他、雪の状況、火山ガスの影響等で通行止めもあります。
流動的な情報なので、下記サイト等を確認の上でお出掛けください。
福島県県北建設事務所のサイト

不動沢橋
人が居るの、わかりますか?橋の向こうは福島盆地です。
駐車場(観光用?)は10数台でトイレ有り。高湯側に観光バス用の駐車場(自分はこちらに車を止めましたが、登山者用の明確な駐車場が無いので・・・、モラル的には心がチクッとしてゴメンナサイ)が有りまして、そちらの東端に不動沢登山口(標高約1,200m)があります。
橋を渡る車やらバイクやらの写真を撮って遊んでいたら、あっという間に20分経過・・・・・、「ビュー!」、急に風が強くなった。
「ハッ!、魔女の瞳を見に来たんだっけ。」・・・・・準備して出発。

登山ポストあります。ルート上の看板、目印、どちらも行き届いております。
今年は噴火規制の影響で、春。夏、秋とここを歩く登山者が増えたようですが、基本的には「冬」に利用される道のようです。
以前(秋)歩いた際にお会いしたのは、たった一人でしたが、今回は10組ぐらいだったかなー。

一読してから歩きます。
五色沼一切経山へ行ける登山道はこのコースのみとありますが、「スカイライン上からは」と言う意味合いです。米沢方面(姥湯等)からもアプローチ可能です。


最初に小さな沢を渡り少し行くと、高湯温泉からの道と合流します。
トレランは禁止だそうです。ご注意下さい。

少々湿りがちの滑りやすい道が続きます(雨天時は沢化しそうです)。
賽河原までは傾斜の緩い登りです。

ちょっと前まで、中秋の名月やらスーパームーンやらと注目されてたお月様。
欠けた途端に人気が無くなり、どこか寂しげ・・・・・。

でも、スーパームーンの黄色を木の葉に残してくれたお月様。
見事な染まり具合でした。

賽(の)河原

賽河原からは、のぺーっと平らな道が続きます。
浄土平から一切経山へ登られた方が、初めてこの道を歩いた場合、いくら歩いても高度が上がらないと不安に・・・・・、しかも直線的な道が続くので、果てしなく遠いように感じるかも。

真っ赤なドウダン(灯台)

「ワー!キレイ」なんて紅葉に見惚れながら歩いてると、「グチャッ!」っと泥濘にはまります。ご注意下さい。


ダケカンバ(岳樺)

ナナカマド(七竈)


知ってても長く感じてしまう道。井戸溝の橋辺りから、ほんの少しですが登り基調になります。

青(緑)から黄色に・・・・・
色付く時間は、人間の行動からすれば「ゆっくり」なんだろうけど、自然の営み的には一瞬の出来事なのかなー。

ホシガラス(星鴉)
食事中なのか?道の上で何かを啄んでいた。邪魔しちゃ悪いと思い立ち止まる。
頭を上下する仕草が、ぜんまい仕掛けのおもちゃのようで可愛かった。・・・・・が、3分程待っても飛んで行かないので、強行突破。驚いて飛んでった。・・・・・「ごめんねー、ウルトラマンだって3分が限界なんだよー。」、なんだー?この言い訳?

深まる秋に吸い込まれて行く。




上を向いて歩こう~♪
(足元に注意しながら)

慶応吾妻山荘入口



慶応吾妻山荘入口を経て、硯石(家形山避難小屋への分岐)を過ぎると登り基調になり、ようやく登山って感じになってきます。

パッと開けて大根森。

米沢(置賜)盆地が望めました。

赤く染まる斜面
このピークの鞍部へ左(南西)から巻き気味に向かいます。

家形山からのびる稜線の色付き具合も良かったー!


つぼみをつけ、越冬準備進行中のシャクナゲを見ながら、平らな道を歩いてきた登山者にはきつい登りを進行中。


周りの木々が途切れてガレザレの斜面に突入。
右写真の上に写る大岩まで登れば景色が一変します。

「バーン!」と目に飛び込んでくる、魔女の瞳(五色沼)と一切経山。
思わず「バンザーイ!」と両手を広げたいところですが・・・・・、「ぐおぉぉぉぉーーーーー!」って暴風が吹いてて、顔に砂がバチバチ、ザックの紐がビシビシ当たりまくりで、痛っ!
しかも冷たい風で、一気に体感温度が下がり、寒っ!
大岩で風を除け、寒さ対策をしながら悩む。強風に逆らって進もうか。それとも尻尾を巻いて逃げ戻るか?
んーーーーー・・・・・!ハッ(゜o゜)、そうだ、冬に備えて尻尾はクリーニングに出したんだっけ。だから今日は巻く尻尾も無いから先へ進もう!(毎度毎度のアホな件(くだり)失礼しました。)
振り向くと、米沢、福島の両盆地が見渡せました。

家形山への分岐へ向かうと幾らか風も弱まり、歩ける状態で一安心。
先程の場所は風の通り道だったらしいが、帰りも通るので要注意!

魔女の瞳の西側まで来ると再び強風!

大自然の赤と青

一切経山への登りは、意外と地味です。

先行者が凄い格好(四つん這い気味)で登っている。相当な風らしい。
樹林帯を抜けた途端に「ビューーー!」っときた。幸い風は追っており、どうにか見晴らしの良い大岩まで辿り着く。

一年振りに見た絶景に感動!!!(*^^)v
風に体が傾きながらもこの景色を目に焼き付ける。

本来の目的はここで昼食&昼寝だったけど、この風じゃ仕方ない。
取り合えず山頂へ行くだけ行ってみる。

この先は暴風(+_+)、いつもは垂れたロープもピンと張っている。

一切経山山頂(標高1,949m)
服もズボンも口の中もパンパンに膨らむ程の風。
ここで走り幅跳びに挑戦したら、追風参考記録ながら自己新は確実!怪我も確実!だからやりませんけどねー。

福島盆地 信夫山が見える。

吾妻小富士

中吾妻山方面
カメラを構えるだけでも疲れるので、もう帰ります。

魔女の瞳、また来るね~(^_^)/~~~

下ろうと思ったら下れない。どうして?
風が強過ぎて戻されるー。
ちょっと怖いけど惰性をつけて下りる。下りなのに疲労する。

振り返り、一切経山へも「又来るねー」(^_^)/~~~、今度は風の弱い日に。
帰りは同じ道を戻るので、特に目新しい物は有りませんがもう少しお付き合い下さい。
風を避けながらのカップ麺休憩後、山の雰囲気を楽しみながら下山します。

大根・・・・・、山を楽しむってこう言う事じゃ無い気がする(^_^;)
※只今御見苦しい点がありまして、大変失礼いたしました。

秋の陽射し

燃ゆる葉

強風に吹かれた為か、少々身体がだるいので慶応吾妻山荘(入口から約300m)でもう一回休憩します。
水場で手を洗い、ゴクゴク頂いてから小屋の中へ。
なにやら作業中らしく忙しそうでしたが、温かいストーブの傍で休憩させてもらいました。
管理人さんと作業の手伝いに来ていた御三方、先に来ていたソロの方と楽しい団らんのひと時(管理人さん以外は今回の行程中に出会ってました)。
管理人さんが「今日は特別に美味いコーヒーだよ、くちばしが長いねー」と言いながらご馳走してくれた珈琲は本当に香り、味、最高でした。変な表現ですが、漢字で「珈琲」と書きたくなる美味さでした。
「くちばしが長い」って???、美味いものがあるのを知っていたかのようにタイミング良く現れる人のことを言うそうです。この先ずっとくちばしの長い人間でいたい(^<^)
この話を皮切りに休憩の際の「一本立てる」の語源など、楽しくてためになる話しが続き、あっという間に時間が経過して、疲れも吹っ飛び笑顔で小屋を後にしました。
小屋で居合わせた方と、お話させて頂きながら楽しく不動沢登山口へ戻りました。

行きでは長い、遠いと思いながら歩んだ道。
帰りは一切経山から見た魔女の瞳や道中の紅葉、そして小屋での楽しい時間の余韻をもっと味わいたくて、もっともっと長く続けば良いのにと思い歩いた道でした。
~おしまい~
行ってみた日 2015.10.3
行程
不動沢登山口⇒(85分)⇒慶応山荘入口⇒(35分)⇒五色沼北側(休憩10分)⇒(40分)⇒一切経山頂⇒(25分)⇒五色沼北側(休憩30分)⇒(25分)⇒慶応吾妻山荘(休憩40分)⇒(60分)⇒不動沢登山口
以上5時間50分(休憩1時間20分含む)の行程でした。

国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)一切経山