熊も見に来る魔女の瞳(五色沼) ~今年の目覚めは?~
自分の当てにならない記憶によれば・・・・・、五色沼が別名魔女の瞳(吾妻の瞳)と呼ばれるのは、雪や氷に閉ざされた中から青い水面が現れる様を瞳に形容したからとか。
予てからその姿を見たいと思っていたけど、残雪の多い山の中の話で自分には無理っぽい。でも今年は雪が少なくて、こりゃチャンス到来!、、、行ってみた。
福島市内から高湯温泉を経てスカイラインを上り不動沢橋へ。
で、磐梯吾妻スカイラインが例によって今年もいろいろと通行規制があるのでご注意ください。
●夜間17:00~翌7:00は通行止め
てな感じです。福島県県北建設事務所や各方面ご確認の上お出かけ下さい。
それと一切経山の大穴火口は相変わらずの火山警戒レベル2です。こちらも併せてご注意ください。



福島市内はパッとしない曇り空だったけど、標高1,200mの不動沢橋まで来たら青空と雲海が広がっていた。


こんなに良い天気なら、もっと早い時間に来りゃ良かったな~と思いながら準備して出発。

歩き始めると道の両サイドにショウジョウバカマ(猩々袴)が出迎えてくれた。


すぐにその花を見る余裕は無くなり、雪解け水の流れと踏抜きに注意しながらの歩きになる。

賽(の)河原
・・・・・昔は木々が無くて荒涼とした風景が広がっていたらしいです。


山鳥山の所に大きな水溜まりが出来てた。この時期は長靴が良さそうです。
その後、視覚的にちょっと厳しい見通しの良すぎる道が続きます。遠い・・・・・。

この日、福島市の最高気温は26℃を超えたらしく、残雪の上でも暑かった。
そんな中、井戸溝を過ぎた辺りで荷揚げ中に一本立ててた(休憩してた)慶応山荘のご主人にお会いする。お話しさせて頂いたら元気になった。
さすがは山で生きる方。登山者を元気にさせるツボを知って居られる。
お別れして先へ進む。

慶応吾妻山荘入口
この辺りから急に道が怪しくなる。残雪の為夏道が分からなくなり、踏み跡も二又、三又に分かれて、この時期はガスったら要注意だと思った。


幸い、先行者(計4名)が下山した踏み跡を直登気味に登ることが出来た。
この踏み跡が無かったら、多分引き返していた。
ちなみにこの日お会いした登山者は往路4名復路2名の計6名と慶応山荘のご主人でした。

先行者の方々に感謝しつつ大根森に辿り着いた。
置賜(米沢)盆地を少し眺めてから、次のピーク(写真右手)を目指して歩く。
※実際は少し左から巻いてあのピークのチョイ裏手に出るのが正解かなー。


夏道から外れたり、戻ったりしながら急登を行く。

自分のような人間は、こんな感じの広い場所に出ると方向感覚を失う。
念の為、振り返ったりしながら帰り道(来た道)をカメラに収める。まぁ、道に迷った時にその写真を見て、この場所の写真と気づくかどうかは別の問題だけど・・・・・気休めにはなる(^_^;)

登って行くと、見覚えのある大きな岩が見えてきて安心する。と同時に魔女の瞳(五色沼)に会える喜びにワクワクする。

見えた~!
ん?氷が解けてなーーーーーい!

氷には亀裂が入り、だいぶ青くなってるけど水面はまだ出ていない。
これはこれできれいなので、「まっ良いか!」
生きてりゃ何(いづ)れ、又チャンスは来るでしょう。

気を取り直して一切経山を目指します。

家形山
もっと早く出発してりゃ久々にこっちも登れたのになー。


家形山の東斜面(左)、家形山の登り口(分岐)にある慰霊碑

一読。
重い言葉を受け、一切経山へ向け歩き出す。
すると・・・・・、ん?あれ?進行方向の五色沼の縁の雪面で何か動いたような気がした。
初めは人かなと思ったけど、目のピントを合わせたら、アワワワワ(゚д゚)!



熊(ツキノワグマ)だった。
幸いにして向こうはこちらに気づいておらず、距離も100m以上離れている。ただ以前出会った時に熊のスピードは体感済なので、100mの距離はあって無いようなものだと思った。

気づかれないように身を屈めて観察してたら、これから自分が向かう方に歩いてくる。
しかも右手の茂みから子熊らしい可愛いのがチョロっと出てきた。
子連れの熊は通常より攻撃的らしいので、ここで退散することにした。
何も気づかず真っ直ぐ歩いて鉢合わせしてたらと思うとゾッとする。
今、一読したばかりの慰霊碑の言葉が命を助けてくれたような気がした。
もし、熊さんがこのサイトを見ていたら注意してほしい。
人間はこれからゴールデンウイークを迎えるので、山に入る機会が増えます。なので人の声や気配を感じたら逃げて下さい。人に手を出すと、見つかり次第鉄砲で撃たれ、挙句の果てには食べられてしまいます。人はとっても野蛮で危険です。注意してください。
熊さんて漢字読めるかなー?ルビ振ったほうが良かったかなー?

熊さんが居たのは写真右上の辺りです。
きっと自分と同じで、魔女の瞳の開眼を心待ちにして来たのだと思います。
氷が解けるまで毎日来そうな感もあるので注意してください・・・・・、人も熊も。


何だかんだ言って、熊にビビったので帰りまーす。
あっ、それから近づく人は居ないと思うけど、魔女の瞳(五色沼)の東斜面が崩落してました(左)。


帰りは更に気温が上がってたので、踏抜きに注意してたんだけど、「ズボッ!」と嵌(はま)った。
しかも地に足が着かない深い所に・・・・・、両足じゃなくて助かった。ホッ。

大根森まで戻り、先行してた方とちょっとだけお話しさせて頂きながら休憩に入る。
置賜(米沢)盆地を眺めながら。

慶応吾妻山荘入口の原っぱに向け、左から巻き気味に降りて行く。




勿論、小屋に立ち寄ります。
ご主人に沼の氷の状況と熊がいた事を伝えて帰ろうと思ったのですが、「少し休んで行きな。」の声に甘えて休憩させて頂きました。
前回は為になる話、今回はお得な話(内容は内緒)を聞かせてくれました。
帰る際には「気をつけてー!」と見送ってくれましたが、その瞬間、「ズルッ!ドテドテドテッ!」、風除室の階段で素っ転んだ自分(゜o゜)、ザックが下になって傷一つ負いませんでしたが、カッコ悪~・・・・・。そんなもんだから、ご主人は「気をつけてねー」ってこの後3回くらい繰り返してくれました。ご心配お掛けしました。
「又、来まーす。」

井戸溝付近
スカイラインの門限が17:00なので考慮して歩く。

バイカオウレン(梅花黄蓮)・・・・・かな?

山鳥山の水溜りが往路より巨大化してた。
避けられそうもないので、思い切って端のほうをジャブジャブ行く。こう言う時って思ったほど濡れないものだけど・・・・・、ぐっしょり(~_~;)
やはり長靴が良いようです。


水量の増えた登山道を無事(足首から下はずぶ濡れですけど・・・・・)に歩き切り不動沢登山口に戻った。

魔女の瞳の開眼はお預けだったけど、例年より早い吾妻の春を感じた一日でした。
行ってみた日 2016.4.23
行程
不動沢登山口⇒(30分)⇒賽河原⇒(45分)⇒慶応山荘入口⇒(25分)⇒大根森⇒(30分)⇒五色沼北側(休憩5分)⇒(20分)⇒大根森(休憩30分)⇒(20分)⇒慶応吾妻山荘(休憩30分)⇒(30分)⇒賽河原⇒(20分)⇒不動沢登山口
以上4時間45分(休憩1時間5分含む)の行程でした。

地理院地図(電子国土Web)より
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)五色沼
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