初夏の陽気の大東岳 ~花に笑って虫に泣く~
ゴールデンウイーク、田舎者の自分的には県外に行かなきゃってなる。
なので、お隣宮城県の大東岳へ2年振りに行ってみた。

仙台の奥座敷秋保温泉から西に向かう。
霧が晴れ、寝ぼけまなこ(眼)に合わせたかのようにぼんやりと大東岳が浮かび上がる。

進んで、ビジターセンターに到着。
営業時間前だけど、ご厚意でエントランス(入口)とトイレは使えます。
こちらに大東岳登山道の案内図があるので1部頂戴して登山口へ向かいます。

本小屋登山口の駐車場(10台強)は7時半近くでほぼ満車だったので、更に少し進んでキャンプ場下の中小屋駐車場(トイレ有)へ。
他にビジターセンターの近く(手前右)にも駐車場は有ります(ビジターセンターは登山者不可)。
準備して出発!


登りは表(立石沢)コースで行きます。
初めはしっとりとした杉の林を歩きます。
ちなみに登山口と山頂の標高差は約1,000m。横移動なら15分程ですけど・・・・・。


イカリソウ(碇草)/チゴユリ(稚児百合)

登山口から15分程で小行沢を渡渉します。
ここで滑って転んでズブ濡れになると9割方帰りたくなるので、慎重に行きましょう。


ラショウモンカズラ(羅生門葛)/ニリンソウ(二輪草)とスミレ(菫)

沢沿いはを歩く箇所は、雨上がりや増水時には要注意!

朝靄(もや)から光
おはようございます。ようやく目がシャキッとしてきた。

立石沢の広場
看板によると登山口から2.3km地点。山頂までは残り3.0km。

前の広場を過ぎて直ぐに渡渉して、再び杉林に入ります。

三合目の道標を通過して杉林を抜けると、沢筋から離れ尾根へ向かっての登りになります。
距離的にはこの辺りが中間点ですが、時間的にはまだ3分の1程度かな?
それから三合目から四合目の間が遠い気がする・・・・・ので、精神的には最初のヤマかな?
更にここから羽虫(ブユ=ブヨ)に囲まれる(~_~;)

シラネアオイ(白根葵)
前述の杉林を抜けた先の沢向かいに目を凝らすと幾つか咲いてた。
この花が登る気力を支えてくれた。
(写真は四合目付近の道沿いのもの)

尾根に出て、ここ(五合目)で休憩。虫除けスプレーで応戦しながら。
時間的にはこの辺りが中間点かと・・・・・さすが丁度五合目!


5合目からこぶし平へ。「鹿打林道分岐」、「標高点」と傾斜のきつい登りが続く。
救いは木々の間から時折見える船形?(右)や蔵王(左)の山容。

こぶし平へ入ると進行方向に大東岳の山頂部がドーンと登場。
まだ標高差は350m程ある・・・・・見えないほうが良かったか?
※写真は引きで撮ってるので実際はもっと近く見えます(多分)。

笹の下にはイワウチワ(岩団扇)が。
名前から「涼」をもらう。パタパタ、パタパタ・・・・・

七合目、東清水入口を経て沼の平へも急登・・・・・ふくらはぎが麺々に、いやパンパンに・・・・・。

沼の平(八合目)
残雪の涼しさにちょっとだけ生き返る。
ここから、大東岳の名所?「鼻こすり」に突入する。


前回も言ったけど、擦るほど高い鼻は付いてないのでご心配無く。
ただ、ここを下る場合は「尻こすり」は免(まぬが)れない。
これが最後の登りと思うと意外と頑張って登れてしまう。
更に南東からの風が強くなり追い風となって「追い風」を後押し。

「お前もがんばれよ!」
看板を労(ねぎら)う余裕も・・・・・(^_^;)

看板から少し先に蔵王の眺めが良いポイントがあった。


鼻こすりが終わると直ぐに山頂・・・・・では無い。
平坦な道だけど、泥濘や笹がうるさい個所が数百メートル続く。
なので余力を残しといて欲しい。

やっとこさで、大東岳山頂(標高1,365m)╲(^^)/

船形連峰かなー?
この後自分の登頂に合わせるかのように雲が沸き上がり北や東の方角は見えなくなった。

でも、西には真っ白な月山!
宙に浮いてた(゜o゜)

山頂の祠に手を合わせてから、裏(大行沢)コースに入ります。
テーブルマウンテンぽい山頂部が災いしてか、泥濘が多い。けど、この山ならではの特色なので苦にならない。
「グチャ!」・・・・・やっぱり苦になる。

山頂から少し降りて二口山塊見晴台に着き、風があるので虫が来ないだろーとここで休憩。
カップ麺も出来上がりフタを開けた瞬間、風が弱まり羽虫がワーって来て・・・・・、スープの中に虫が2匹。「おのれー!」怒りで全てひっくり返しそうになり、ハッとしてそれを取り出す。
「シーフード味だから山の虫の出汁(だし)は不要だってーの!」「入るなら醤油味か味噌味の時にしてくれ、まったく~」
・・・・・何か違う気がする。
ズルズルッ、いつもの味だった。

来た道を振り返り大東岳山頂。
のぺーっとした山頂に心も平になり少し落ち着く。

薄っすらと白い朝日連峰。山形の街並みは見えそうで見えなかった・・・残念。

猿鼻山(左)と南面白山(右)、奥に月山や村山葉山。

南面白山へ続く道。
いつか歩いてみたい。その日に備えて一考しておこう。

休憩を終え、もう一つの大東岳の名所?「弥吉ころばし」の入口から糸岳?を眺める。
左後方に仙台神室も見えてた。


弥吉ころばしは足の置き場を考えながら降りないといけない危険な急斜面。
羽虫がかなりうるさかったけど集中して降りた。
急な下りは振り返っても急(写真右)。決して6にはならない。はぁ?
この日の歩き中、自分とは逆の裏コースから表コースへ回る登山者とは全く会わなかった。自分には到底登れそうにない弥吉ころばし。


降りて行くと、カタクリ(片栗)が賑やかに咲いてる場所があった。
ショウジョウバカマ(猩々袴)もそれなりに咲いてた。

更に降りて、水音が聞こえてガクリ沢。
ビジターセンターから頂いた案内図によれば、ゴロゴロした石で登りも降りも疲れが溜まって「ガックリ」する沢だからとか・・・・・。
おまけにこんな下らないブログを読まされた方々は更にダメ押しのガックリ。お気の毒です(^_^;)

ガクリ沢の斜面にはニリンソウ(二輪草)が群生。


ニリンソウ(二輪草)/ミヤマカタバミ(深山片喰)?

ムシカリ(虫狩)=オオカメノキ(大亀の木)

結構長く感じる下り。
前回の訪問時(2014年5月中旬)は、まだ雪渓になってて「ザザー」っと滑り下りて楽しかった記憶。
今回雪は無く、その分なのかおびただしい数の羽虫(ブユ=ブヨ)。足を止めてカメラを構えると、上野のパンダの人垣並に虫が集まる(例えが古いか?手の周りだけで30匹は来る。)
かなり注意してたつもりだったけど、手の甲、首の後ろ、足首と少なくとも3ヵ所以上刺されてた。
「痒~~~~~ぃ!」(+_+)


今の季節は虫に泣かされるけど、その分キレイに咲いてる花で帳尻合わせ。
道の両側ニリンソウ(二輪草)(^^♪


ガクリ沢が終わり、樋の沢避難小屋に着く。
ここから左に折れて大行沢の道に入る。
不思議なことにここから羽虫がいなくなった。一安心。

避難小屋から登山口の本小屋までは約6km。
大小の沢をいくつも渡る飽きないコースと言いたいところだけど、2度目なので少々単調に感じた。

視点を変えて、新たな楽しみを見つけて歩く。
けど・・・・・、


北石橋の入口を過ぎると、こんな感じでへつり気味な道もあるので、上ばかりも見てられない。
慎重に一歩づつクリアして行く。

緑濃くなる山肌。


もう一つの新たな楽しみは、渡る沢毎に植生が違うこと。
この沢はシラネアオイ(白根葵)が多かったけど、ニリンソウ(二輪草)が多かったり、フデリンドウ(筆竜胆)が多かったりと、隣同士の沢でも特徴が違い面白い。

京淵沢の涼しい風に癒されて少し行くと、右手に見える梯子滝。
もうすぐ葉っぱで見えなくなるかも?

シロヤシオ(白八汐)
風に揺れる様が涼しげ。

裏磐司展望台より
ベンチが有り休憩によろしいかと・・・・・、この日は日当たり抜群過ぎてパス。


雨滝
天然のシャワー!

滝壺に虹
虹を見るとどうしても時計を気にしてしまう自分。2時10分前(13:50)だった。惜しい!

緑のシャワー、陽射しのシャワー。

1歩毎に緑深まる道を、無事に登山口へ戻りました。
帰りは神ヶ根(かんかね)温泉(¥500)で汗を流し帰宅完了。

こんな景色に飛び込みたくなる、初夏の陽気の大東岳でした。
行ってみた日 2016.5.3
行程
登山口⇒(50分)⇒立石沢⇒(40分)⇒五合目(休憩10分)⇒(40分)⇒東清水入口⇒(45分)⇒大東岳山頂(休憩5分)⇒(15分)⇒二口山塊見晴台(休憩40分)⇒(65分)⇒樋ノ沢避難小屋⇒(15分)⇒北石橋入口(休憩5分)⇒(55分)⇒雨滝(休憩5分)⇒(40分)⇒登山口
以上7時間10分(休憩65分含む)の行程でした。

地理院地図(電子国土Web)より
※上記地図の地名は秋保ビジターセンターさんの案内図を参考にさせて頂いてます。
※毎度のことながら赤線表記は適当なのでご了承下さい。
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)大東岳
暇潰しにこちらもご覧になって頂ければ幸いです。
大東岳(標高1,365m) 2014.5.18
二口山塊大東岳と奇勝北石橋 ~行く秋~ 2016.10.30
- 関連記事