三条ノ滝&ちょっとだけ尾瀬ヶ原 ~燧裏林道を行く~
今年は檜枝岐界隈に多く足を運びたいなーと思ってて、その初っ端に御池(みいけ)から尾瀬ヶ原へ行ってみた。
(昨年は山形方面へ多く行きたいと思ってた割には5回と中途半端な数、今年も気合いの割には檜枝岐へそれ程行けないかも?なので期待しないで下さい。)
現地に着いての体調やら天候やらを確認してから歩くコースを決めたかったので、御池には沼山峠行きのバス(¥520)の始発時刻5:30(※6/1~8/15は4:30)前に到着。
駐車場(1,000円/回)に車を入れる(ちなみに尾瀬の複線木道1m辺りの建設費用は約12万円だそうです=ヘリでの空輸費含む)。
体調まあまあ、天候まあまあ(高曇り)だったので、沼山峠行きの始発バスを見送って、往路は燧裏林道を行くことに決定!(復路は又向こうで考える。)
※食事中の方には申し訳ないのですが、御池の朝のトイレの大きい方は混み合います・・・・・バスの発車時刻等も考慮の上、時間に余裕を持って行動しましょう。
バスとか駐車場の詳しいことは尾瀬檜枝岐温泉観光協会等でご確認下さい。

御池登山口は駐車場の西の端。
準備して出発!

木道を少し行くと燧ヶ岳への分岐有り。
ここの標示は8.9kmだけど、御池~見晴(みはる)間は9.4km(三条ノ滝を経由すると10.2km)。「遠っ!」
燧裏林道は殆ど(9割以上)木道です(三条ノ滝への道は山道主体)。「凄っ!」

まだミズバショウの実は熟してないから大丈夫かな?と思いつつも不安に・・・・・。
クマに自分の存在を知らせるために、鈴と「チリン、カラン」と話しながら歩きますか・・・・・ん?看板の説明と何か違う???

最初の湿原、御池田代。ミズバショウ(水芭蕉)が点在&カッコウ(郭公)の響き。
歩き始めて500m、尾瀬の魅力に引き込まれた。「早っ!」
※バリアフリーの木道はここまでです。


リュウキンカ(立金花)/サンカヨウ(山荷葉)


姫田代/タテヤマリンドウ(立山竜胆)
花を閉じてまだ寝てるリンドウを羨ましく思いながら通過。

広い上田代に入ると、燧ヶ岳の頭が見え隠れ(写真中上)。




チングルマ(稚児車)/イワカガミ(岩鏡)
ワタスゲ(綿菅)/ヒメシャクナゲ(姫石楠花)

尾瀬ヶ原や尾瀬沼まで歩くのはちょっと無理かも・・・・・って方も多いと思いますが、こちら燧裏林道の上田代は御池から片道約1.5km、森の中の秘密の草原って感じで素敵なところです。いかがですか?
かわいい植物や見事な景色、自分的にはかなりお気に入りの場所になりました。

平ヶ岳

荒沢岳(多分?)

左から未丈ヶ岳、毛猛山、守門岳(多分???)

ノメリ田代の三連池塘

イワナシ(岩梨)

横田代、西田代を経ると森の中に吸い込まれていく。

森の中にはこんな木も・・・・・ラクダの様なでんでん虫の様な・・・・・、何れにしても、この大木には紆余曲折の若い頃があったらしい。

沢付近では少々のアップダウン有りです。階段や木の根っこ等サポートが行き届いているので、きつい段差は無いかと・・・。

ちょっとだけ開ける天神田代から見える燧ヶ岳。


渋沢(しぼさわ)温泉への分岐(御池から3.3km)
今年(2016)の渋沢温泉小屋の営業中止と、そこへ続く道の通行禁止を告げる標示板。
この辺りから道は少しづつ下り傾向。


更に森を進み、裏燧橋に出た。
揺れは少ないけど、ワイヤーと金具の触れる音がちょっと怖い・・・。

橋の真ん中は平ヶ岳がよく見える。
怖さを忘れて立ち止まる。

大岩が大木に飲み込まれそうだった。
薄情な自分は大岩を助ける事もなく、見て見ぬふりをして通過・・・・・「ごめん。」



歩く事に集中してたら、いつの間にか大きなブナ(山毛欅)の林に入ってた。
我が身が浄化されてるような不思議な感覚で歩く。


段吉新道(見晴方面)と三条ノ滝への分岐(兎田代上分岐、御池から5.5km)
<ここまでで出会ったのは1組(2名)のみでした>
まだ1km以上離れてるのに、下の方から落水音が聞こえてくる。その音に吸い寄せられるように三条ノ滝へ向かう。
※ここから三条ノ滝まで約250mの高低差(距離1.2km)があります。なので疲労度や足の具合等考慮して進みましょう。
※渋沢温泉を経て小沢平(こぞうだいら)へ向かう方もこの分岐は三条ノ滝方面へ。


下り坂を100m程行くと再び分岐。マイヅルソウ(舞鶴草)に覆われて見えないけど小沢平への分岐(兎田代下分岐)です。


兎田代の木道を行くと、2本の大きなクロベ(黒檜)?がゲート状に立ち、この先、道は急降下。


三条ノ滝展望台への分岐
※尾瀬ヶ原から三条ノ滝へ散策される方の中には山小屋に荷を預けて来ている方もいます。
※三条ノ滝への道は木道じゃありません。通常の山道で段差や泥濘もあります。


鎖付の階段を降りると、轟音と共に滝壺が見えて圧倒される。
※階段は足のサイズが大きい人程、踏み外しの危険がありそうです。

鎖が有っても無くても、高所恐怖症の方にはちょっと厳しい橋と階段を行くと、第一テラス。そして目の前に・・・・・

三条ノ滝


音、水量、共に恐怖感を覚えるような凄みのある滝です。
滝壺から吹き上げる風を受けて更に背中が「ゾクゾク」っとします。
マイナス要素の多い自分も全くかなわない凄い量のマイナスイオン浴びまくりで圧倒されっ放し。
半ば放心状態で三条ノ滝を後にする。

尾瀬ヶ原の温泉地区までは約1.8km。


湿った登り坂に苦労しながらも、涼し気な沢の景色に助けられて進む。
時折薄日が差し始めた。尾瀬ヶ原での青空に期待が膨らむ。

平滑ノ滝


段吉新道との合流点(分岐)

分岐から少し歩くと尾瀬ヶ原温泉休憩所。奥は元湯山荘。
こちらのベンチをお借りしてパン休憩。

休憩後、赤田代に入ると前方に至仏山が登場!

左を向けば「山」の字をした燧ケ岳。


タテヤマリンドウ(立山竜胆)/ニリンソウ(二輪草)

オゼタイゲキ(尾瀬大戟)

東電小屋への分岐(赤田代分岐)
ベンチから広大な尾瀬ヶ原を眺めて深呼吸。頭をリフレッシュしてこの後の行程を考える。
当初は見晴から尾瀬沼経由で沼山峠からシャトルバスって考えてたけど、帰りも一人静かに燧裏林道を歩きたいって思いが強くなってた。
なので、見晴から竜宮、ヨッピ吊橋と尾瀬ヶ原を3分の1周して又ここに戻って来ることに決定!

それにしても尾瀬ヶ原って広いなー。
空気が澄んでて遠くまで見えるから「近い」って思っちゃうけど、結構遠かったりする。目視と実際の距離との違いに戸惑いながら歩く。

ズミ(酸実)

見晴(十字路)
別名「尾瀬銀座」、ちょっと賑やか。
ここから右に折れて竜宮方面へ向かう。

至仏山を正面に見て歩く。
東京に初めて行った田舎者のように(実際、かなりの田舎者ですけど)キョロキョロ見回しながら歩いてると、沢山の方に追い抜かれた。複線の木道だし、渋滞してる訳でもないから尾瀬ヶ原はのんびりと歩いて楽しませて頂いた。

振り向けば燧ヶ岳。

至仏山に日帰りで登るには群馬県から入らないと無理っぽい。御池からだと強行で1泊、ゆっくり楽しむなら2泊は欲しくなる。いつかは登りたい山だなー。

沼尻川を越えて群馬県にお邪魔すると左手に龍宮小屋。

竜宮十字路
時間的に牛首まで行けるかな?って思ったけど、何事も腹八分目、欲張っちゃいけない。ここから右に折れてヨッピ吊橋へ向かう。

逆さ至仏
写真撮ってたら、いつの間にかお子様が近づいてきてて池塘を指さし「アカハライモリだよ。」って教えてくれた。
「どれどれ」っておっさん(自分)が見たら、そのアカハライモリが水面に浮いてた。
教えてくれて「ありがとー」と大人の対応をしたつもりだったけど、おっさんの顔は引きつっていた。あの類(たぐい)の生き物は苦手なんだよー。

景鶴山へ向かって歩く。


タテヤマリンドウ(立山竜胆)/ヒメシャクナゲ(姫石楠花)

池塘の向こうに歩荷さん。
写真が小さすぎたか・・・・・。


分岐を右に折れ、ヨッピ吊橋を渡り東電小屋方面へ向かう。
吊橋の定員は10名・・・・・団体さんはお気をつけ下さい。

燧ケ岳にも再び登りたいなー・・・。

振り返って、鐘と歩荷さんと至仏山。

東電小屋が見えてきた。
この辺りからちょっとだけ新潟県にお邪魔します。

東電小屋手前の小川
尾瀬ヶ原のミズバショウ(水芭蕉)は、ほぼ終わりで、リュウキンカ(立金花)等が頑張ってたけど、全体的には「春」と「夏」の狭間だったかなー。

この橋を渡り福島県に戻る。


赤田代の分岐に戻り、至仏山とはここでお別れ。
結局、青空が広がることは無かったけど、景色は十分楽しめた。


天然の水中花/シオカラトンボ(塩辛蜻蛉)かな?

温泉小屋が見えてきた。
往路と同じく尾瀬ヶ原温泉休憩所前のベンチで休憩させていただく。
食うもん食って寛いでると、近くで休憩してた方のザックに目が留まった。
「デ、デカイ・・・」、自分のザックの3倍はあるだろうか。いつもの調子で好奇心から話かけてみた。
ザックが大きいからか少し小柄な印象のご主人は穏やかな語り口で、ザックは80ℓでこの日は見晴にテント泊すると教えてくれた。
例年尾瀬へは数回訪れているそうで、燧裏林道がお気に入り。ザックは飯豊辺りで3~4泊することもあるからこの大きさ(以前は90ℓだったそうです)。そして自分に合わせるかのように里山の話や道具を選んだ理由等話してくれて、短時間だったけど凄く勉強になって充実したひと時を過ごさせていただきました。「ありがとうございます。」
お腹も心も満たされて御池に戻る。


段吉新道と三条ノ滝分岐
帰りは段吉新道で兎田代上分岐へ。
御池まで残り7.4km・・・・・遠い。




オオバミゾホオズキ(大葉溝酸漿)/ツバメオモト(燕万年青)
トガクシショウマ(戸隠升麻)=トガクシソウ(戸隠草)


段吉新道は「新」と付く割には朽ちた木道が多い。けど、平坦な箇所が多く安心して歩ける道。しかもブナ(山毛欅)の森が紫外線から守ってくれる。


兎田代(上分岐)
朝はここから落水音が聞こえて三条ノ滝へ向かった。帰路はハルゼミ(春蝉)の大合唱。
休憩して居られた3人組のベテランさんに声を掛けると、同じく燧裏林道で御池に戻るとのこと。後ろからこの方たちが歩いて来るのが分かっただけで凄く心強い!


分岐で御三方ともう一組(2名)、少し歩いて一組(2名)とお会いしてからは、御池まで一人旅となった。
歩きに集中してると、いつの間にか裏燧橋に着いていた。

橋の中央で心地よい風を受けながら、平ヶ岳を眺める。
実は今回このロングコースを歩いたのには訳があって、今見てる平ヶ岳に登りたいが為に距離の経験を積んどきたかった。
まっ、こちらは平坦であちらは傾斜もあるので同じ距離でも全然状況が違うんですけどねー。しかもこの日はかなり天候に恵まれ、それ程暑くもなく、終始風を感じて歩けましたし・・・・・。
いつになるかは分からないけど、「きっと登るから待っててねー!」・・・・・返事は無かった・・・・・。




ゴゼンタチバナ(御前橘)/ツルシキミ(蔓樒)
タテヤマリンドウ(立山竜胆)/コミヤマカタバミ(小深山傍食)

森を抜け西田代まで戻ってきた。

「ただいま~!」

上田代と大杉岳
ベンチで休憩。早起きは三文の徳って言うけど、自分的に早起きはただ、ただ眠い。
横になる。やわらかい陽射し、風も気持いい、ウトウト、ウトウト・・・(眠っても、やがて後ろから来る方達が起こしてくれるだろう)・・・zzzzz・・・・・
・・・・・「ビグッ!?」とした痛みで目が覚めた。一瞬、何が起きたのか分からずにココハドコ?ワタシハダレ?状態に陥る。
ウ~、右のふくらはぎ(脹脛)が攣った。あまりにも長い距離歩かされたもんだから、痛みで抗議してるらしい。「ごめんね、後でちゃんとアイス買ってあげるから、もうちょっと頑張ってね」って子どもか!
感覚的には30分程寝たつもりだったけど、時計見たら、たったの5分だった。
ちょっと右足が重たいけど帰ろ。




今朝見送ってくれた花々に、挨拶しながら戻る。

どうにか御池に到着!
最寄りの御池ロッジの展望風呂(¥500、沸かし湯かな?)で汗を流し&右ふくらはぎのケアをしてからアイスも食って、ブーンと無事帰宅完了。
長い道のりだったけど、三条ノ滝の大迫力、尾瀬ヶ原の広大さ、燧裏林道の田代群やブナの森、見るもの全てに圧倒されて大満足の歩きでした。
季節を変えて又来よーっと。
行ってみた日 2016.5.28
この日の行程
御池⇒(35分)⇒上田代⇒(40分)⇒裏燧橋⇒(30分)⇒兎田代上分岐⇒(25分)⇒三条ノ滝(休憩5分)⇒(40分)⇒尾瀬ヶ原温泉休憩所(休憩10分)⇒(15分)⇒赤田代分岐(休憩5分)⇒(15分)⇒見晴⇒(30分)⇒竜宮十字路⇒(25分)⇒ヨッピ吊橋⇒(30分)⇒赤田代分岐⇒(15分)⇒尾瀬ヶ原温泉休憩所(休憩45分)⇒(35分)⇒兎田代上分岐⇒(30分)⇒裏燧橋⇒(55分)⇒上田代(休憩10分)⇒(25分)⇒御池
以上8時間40分(休憩1時間15分含む)の行程でした。

地理院地図(電子国土Web)より

地理院地図(電子国土Web)より
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)三条ノ滝
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