谷地平と駕篭山稲荷 ~わたすげ求めて原生林を歩む~
耳かきする度に思い出す・・・・・2年前の谷地平(やじだいら)。
風に揺られるわたすげ(綿菅)に逢いたくなって再び行ってみた。
まずは土湯峠から磐梯吾妻スカイラインを経て兎平駐車場へ。
2年前の模様はこちら⇒吾妻山麓 ~谷地平のワタスゲ(浄土平から)~ 2014.6.21

兎平駐車場(標高約1,600m・トイレ無し)に到着。
青空と微風、絶好のわたすげ日和! 期待大の中、準備して出発!
※レストハウスやトイレのある浄土平駐車場(乗用車410円/台・H28)までは徒歩15分程度です。


浄土平までスカイラインを歩く。
車が途切れ静かになると大穴火口からの「シューシュー」と噴出音が聞こえてくる。
あれ?、火口の上に何かある。噴火の観測設備かな?


いつもは車で通過するばかりで気付かなかったけど、道端にはハクサンチドリ(白山千鳥)やツマトリソウ(褄取草)。
そこいらの登山道よりこっちの方が沢山咲いてるかも。(^_^;)

これから谷地平へワタスゲ(綿菅)を見に行くってーのに、浄土平湿原でワタスゲ見物。


んー?何か例年より綿毛の数が少ないような・・・・・。
今年は天候がちょっとおかしいから影響あるんだろーか?ここと谷地平、リンクしてなきゃいいけど。


クロウスゴ(黒臼子)又はクロマメノキ(黒豆の木)/イワカガミ(岩鏡)
「今日の目的地は浄土平ですか?」「はっ!(゜o゜)」先を急ぐ。


マイヅルソウ(舞鶴草)/姥ケ原へ


姥ケ原(標高約1,770m)
木道は所々工事中。工事は7月いっぱいぐらいまで続くらしい。



チングルマ(稚児車)
こちらも例年と比べると花が少ない感じ・・・・・、開花後に霜が降ったらしく、勢いも今一かなー。

東吾妻山への分岐(十字路)付近には結構な確率でクマさんの足跡・・・・・&最近は人間様の足跡も増えててちょっと心配。
クマさんも人間様もお互い気をつけましょう。

その十字路辺りから中吾妻の峰々が見えてくる。
うー・・・、雲が増えてきた( 一一)

姥神様の所の分岐
左(西)が谷地平。右(東)は鎌沼。この手前に駕篭山稲荷への分岐もあるので、進入路を間違えないよう気をつけましょう。写真左辺りに姥神様が居られます。

姥神様に手を合わせ、オオシラビソ(大白檜曽)が主体の原生林へと足を踏み入れる。
視界が一気に奪われ、足元は苔むした岩や木の根で滑り易い。なもんだから、精神的にきつい歩きになる・・・・・かも。
途中で立ち止まり、素晴らしい原生林を見回す余裕が欲しい(←自分に言ってます)。


ミツバオウレン(三葉黄蓮)/エンレイソウ(延齢草)
薄暗い中だけど、草花、樹花が豊富で楽しめます(精神的な余裕さえあれば・・・)。
今回、姥ケ原⇒谷地平でお会いしたのは4組(5名)の方々でした。
姥神様から下り始めて間もなく、反対方向から登って来る男性。挨拶を交わして通り過ぎようとしたけど、朝の時間帯にここを登る???、思わず「小屋泊まりですか?」って話かけてみた。「浄土平を今朝の7時30分に出て谷地平往復だよ」との事で「往復3時間のトレーニングだよ」と続けてくれた。
そのスピードにびっくりして話を聞いてくと、「吾妻山麓を歩いて50年!」(載せないけど)年齢を聞いて更にびっくり!(見た目では50代前半くらいかな?って思ったけど遥かに上の御年でした)
帰りに歩こうと思う駕篭山稲荷方面の道の状況を尋ねたら、「3日前にあの辺りをウロウロしたけど、刈り払いしてあったから大丈夫だよ。」って教えて下さいました。えっ、3日前にそこを歩いての今日のここですか・・・・・、とにかく凄~い方でした。「ありがたやーありがたやー」
で、この後にお会いした女性お二方が・・・・・・・いちいち出会った方をみんな紹介してたら「とっとと谷地平へ行ってくれ!」って声が聞こえてきそうなんで向かいますね・・・。


暫く下りが続きます(谷地平は浄土平よりも約100m低い)。途中で小さな沢を2本渡ります。

2本目の沢にあった何かの葉っぱ?????・・・・・無期限調査中。

前述の沢を渡るとほぼ平行移動で、この先にある少し急な斜面を降りると小さな湿原(木道)に出ます。

ミズバショウ(水芭蕉)


小さな湿原を抜けると2回の渡渉が待ってます。まずは左の写真。少し歩いて避難小屋を過ぎたら右の写真。
前回の時は右の渡渉に苦労した・・・・・けど、今回はきれいに石が並べられてて簡単に渡れました(水量も少なかった)。石を並べて下さった方に感謝!


谷地平避難小屋

透明度が凄っ!


大倉新道(谷地平、東大巓方面)と駕篭山稲荷の分岐(丁字路)。
右へ。


木道をトントン進む/コバイケイソウ(小梅蕙草)

谷地平(標高約1,500m)
左から昭元山、烏帽子山、ニセ烏帽子山
だ・~・れ・も・い・な・い・! \(^^)/
木道でスキップ~♪、一人ではしゃぐ危ないおっさん・・・。

中吾妻山

池塘に青空・・・・・上空は8割方雲、残念。

で、目的のワタスゲ(綿菅)は、やはり少ない。
時期が早いのか、天候の影響か、何れにしても自然の摂理。仕方ない。

ふわふわ~、ゆらゆら~

「ゲコゲコ、グワァグワァ・・・」蛙の歌を聴きながら、この景色でランチ。
前来たときにゃ、イワカガミやチングルマも咲いてたけど、それも殆ど見かけなかった。今シーズンは雪が少なかったらしいけど、ある程度の降雪が無いと高山植物って花をつけ無いんだろーか?

ここに咲いてた!・・・・・(^_^;)

家形山
福島盆地方面(真裏)から見たのとほぼ同じ形。一説では、この形が東屋(四阿)の屋根っぽいから「あづま山」って名前になったそうです。
その割には人気の無い家形山。

東吾妻山(拡大してます)
秋に登ると、草紅葉の谷地平が(遠くに)眺められます。

休憩箇所の180度画像
クリックしていただいて、雰囲気だけでも伝われば幸いかと・・・。

休憩を終え、駕篭山(かごやま)稲荷神社のある山へ向かう(写真中央)。山の名前も駕篭山で良いのかな?
左が東吾妻山。

見送ってくれたご夫婦?に又来る旨を伝えて谷地平を後にします。
分岐まで戻り駕篭山稲荷方面へ。


すると直ぐに道が無くなり渡渉地点に(左の写真)。これじゃ靴脱いで裾上げしないと無理っぽい・・・、面倒だから来た道戻ろっかなーって思ったら、少し下流に渡れそうな所(右の写真)があって、無事に渡渉。
渡った先には小さな湿原。


湿原に埋もれそうな道標/避難小屋の三角屋根


雨が降れば沢化しそうな道だけど、今朝出会った方の情報通り刈り払いされており藪漕ぎは免れた。こんな深山まで手入れして頂いて本当にありがたい!



進んで行くと、道の真ん中にミズバショウ(水芭蕉)が多くなる。訪れる人が少ないからか、他の花も道上に咲いてて足の踏み場に気を使いながらの歩き。

姥ケ原~谷地平の道と比べると、こちらは陽射しが多く薄暗さは感じない。ただその分羽虫が多かった。

それから、大倉小滝(※)への分岐を過ぎた先に迷いそうな箇所が有ります。
道は左折気味に続くのですが、そのまま直進すると涸沢へ入ってしまうので、お気をつけ下さい。目印が多いので大丈夫かとは思いますが・・・。
※大倉小滝は自分の様な弱輩者が決して近づいてはいけない危険な場所です。興味本意だけで行くのはやめましょう。命を失いかねません!


それからそれから、登れば登るほど傾斜が急になるパターンの道です。しかも岩も地面もやたらとスリップします。
谷地平→駕篭山稲荷→姥ケ原ではどなたともお会いしませんでした。
こんな山奥で怪我したら助けを求めるにも・・・・・、慎重に歩きます。

しんどくなって振り向いたら東大巓が見えるようになってた。
「今度はこっちにも来てねー」って言われた気がしたけど、答える余裕は無い。



樹々の間に赤い鳥居が見えて、駕篭山稲荷下の分岐に着く。
鳥居は塩ビパイプ製で、よーく見ると上に「カゴヤマイナリ」と記してあった。
疲労してたけど欲張りなおっさんは「何か御利益が・・・」と期待して、シャクナゲの咲く参道(急登)を登る。

鳥居から5分、駕篭山稲荷神社(標高1,786m)(*^^)v
羽虫に囲まれながらも欲張り全開で「にょんにょにょんにょ・・・」とお願い事。
昔話だと大概こんな欲張り者は後で痛い目に会うんですけどねー。果たしてどうなることやら・・・・・。

降る途中で、兵子(ひょっこ)がひょっこり・・・・・。
鳥居(分岐)まで戻り姥ケ原へ向かう。

姥ケ原へ向かって直ぐの所に大きな大きなダケカンバ(岳樺)。
こんなデッカイの初めて見た( ゚Д゚)!


サンカヨウ(山荷葉)/イワナシ(岩梨)


姥ケ原へは緩いアップダウンの続く道で、こちらも刈り払いがされており難なく歩けました。
右の写真の涸沢、ここも迷いそうなので目印を追って慎重に。

せいれ~つ!(整列)、左から東大巓、昭元山、烏帽子山、ニセ烏帽子山


姥ケ原が近づくと灌木帯で顔の辺りに枝葉が・・・・・、そこを抜けたら岩とシャクナゲの道。

アズマシャクナゲ(東石楠花)

岩だらけの広場に出た。
ん?道は何処ですか?
真っ直ぐ登って目印発見出来たけど、ガスったらちょっと迷いそうな場所。

振り返って中吾妻山。右端にちょっと覗いてるのが西吾妻山か西大巓のどっちかで、左が先程まで居た駕篭山稲荷のある山。

姥ケ原に出て、姥神様にご挨拶、「ただいま~」


鎌沼まで来て、ようやく人の姿と声を確認してホッと一息。
その息で揺れる鎌沼のワタスゲ(綿菅)。

木道に顔を出してた御両人。

吾妻小富士と桶沼が見えて安心したら、欲張りおっさん(自分)の左膝の裏から脹脛(ふくらはぎ)にかけて痛みが走った。
実はこの箇所、朝から「何か重いなー」って感じてた。ただ歩き始めるとそんなことはすっかり忘れてたぐらいだから、ここまで痛くも痒くもなかった。
止まると歩けなくなるかもって思い、徐々に増す痛みを無視するように歩き続けてどうにか駐車場へ戻った。最後の舗装路歩きが辛かった。
そんな訳で、この後温泉にも入らず、マイカーがMT(マニュアル)車じゃなくて良かったなーって心から思って帰宅した。
症状的には軽い肉離れかなーって感じです。患部に湿布貼って、出来るだけ左脚に負担を掛けず3日間。歩いても痛みを感じなくなりました。次の週末までの数日で不安が解消されるかなー・・・・・。

変な終わり方になっちゃいましたが、谷地平と駕篭山稲荷の歩きでした。
~おしまい~
行ってみた日 2016.6.11
この日の行程
兎平駐車場⇒(5分)⇒浄土平湿原(散策25分)⇒(45分)⇒姥ケ原(休憩10分)⇒(10分)⇒姥神様⇒(70分)⇒谷地平分岐⇒(10分)⇒谷地平(休憩75分)⇒(10分)⇒谷地平分岐⇒(60分)⇒駕篭山稲荷神社(休憩5分)⇒(50分)⇒姥神様⇒(10分)⇒鎌沼(休憩10分)⇒(35分)⇒兎平駐車場
以上7時間10分(休憩1時間40分含む)の行程でした。

国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)谷地平