一切経山の夏の朝 ~緑あふるる~
「ジジジジジ・・・・・、カチッ。」
扇風機のタイマーが切れる度に目が覚める熱帯夜。
再び1時間後にタイマーをセットして・・・・・、を繰り返すも蒸し暑さと苛立ちで頭の中が沸騰してくる。
「もう駄目・・・」、時計はまだ午前2時を告げたばかりだけど、冷蔵庫の中の冷たいもんをザックに詰め込んで、高原の別荘へ・・・・・、は夢の中の出来事だったらしいので、現実的に涼しそうな浄土平(一切経山)へ行ってみた。
高湯温泉側からスカイラインを行くと、東の空が染まり始める。

福島盆地は雲海に沈み、山は前夜の「雨」予報を覆す穏やかな天気。
気温も16~18℃と、このまま雲のベッドで一寝入りするには絶好のコンディション。
「じゃ、続きは又今度ってことで、おやすみなさ~い。」
・・・・・って訳にもいかないので寝ぼけ眼(まなこ)を擦りながら浄土平へ到着。
車中泊らしき車が数台の閑散とした駐車場(2017年は普通車¥500、早朝は管理人さんが不在なので・・・)は、下山時も台数は疎らで週末にしては寂しい限りでした。
「雨」予報が災いしたようで、これも一種の風評被害では?
準備を終え、一切経山目指し出発!

前夜に雨が降った気配の静かな浄土平。
薄靄(うすもや)のかかる吾妻小富士を起こさない様、そーっと通過。



トキソウ(朱鷺草)/ネバリノギラン(粘芒蘭)/ヤマサギソウ(山鷺草)の類
浄土平の草花たちは、ポヤ~ンとしてどれも眠そう(写真のピントが合ってないだけですけど・・・)。

「コケコッコォーーーーー!」とはさすがに聞こえなかったけど、朝の陽射しとともに野鳥たちの声が一段と賑やかに。
浄土平に朝が来た!



酸ガ平への登り/クロヅル(黒蔓)/シラタマノキ(白玉の木)


ひと月前は姿の見えなかった酸ガ平から流れ落ちる沢(右、2017.6.17)。
とけた雪はかき氷何人前だったのだろーか?
考えただけで頭がキーンと痛くなった。



マルバシモツケ(丸葉下野)/イワカガミ(岩鏡)/シラネニンジン(白根人参)


緩やかな木道に入ると目の前にパァーっと酸ガ平(すがだいら)が広がる。
何度来てもこの瞬間が好きみたい。
分岐から右に折れ一切経山へ。

酸ガ平と前大巓(まえだいてん)


避難小屋と公衆便所建屋横を通過。



避難小屋を過ぎ、沢を渡ると少しの間急登。
この区間、可能な限り振り返らずに登る。足元のクロマメノキ(黒豆の木)を見ながら。

急登を終え振り向く。
東吾妻山、鎌沼、酸ガ平が一望!
更に爽やかな風が汗を拭う。
一切経山から登山者へのおもてなし。


進行方向に一切経山頂/コケモモ(苔桃)


真横から朝日を浴びて登ると、眼下に吾妻小富士。
この辺りまで来ると山頂(一切経山)はもう直ぐ。


一切経山山頂(標高1948.8m)\(^o^)/
だーれも居ないよ、貸切だよ!
聞こえてくるのは野鳥の声と僅かに風の音。

五色沼(魔女の瞳)
朝の柔らかな光の下(もと)の瞳も清々しくて素敵です。

移動していつもの場所(大岩テラス=通称)で休憩。


個人的にはここから見る沼畔へ向けての樹の並びが好み/福島盆地の雲海

吾妻連峰主稜線
左に写るコブ3つの左が最高峰の西吾妻山。


ホシガラス(星鴉)が飛んで来て「ギャーギャー」、何か言ってる。
首を向けた方向へ目を向けると、東吾妻の山頂だった。
「折角来たんだから、360°の景色を楽しみなさい」って言ってたみたい。
「ギャーギャギャー(=人間の言葉に訳すと、ありがとー)。」

休憩後、山頂へ戻ると覆ってた雲が消えて磐梯山が登場!

高山の向こうに安達太良も登場!
この日は涼むのが目的で、梅雨空下の景色は全く期待してなかったから十分過ぎる眺めに「感謝!感謝!」で下山開始。

緑、緑、みどりぃーーーーーっ!の酸ガ平まで戻り、鎌沼方面へ。



ネバリノギラン(粘芒蘭)/イワオトギリ(岩弟切)/ミヤマリンドウ(深山竜胆)

鎌沼と東吾妻山


沼畔の木道を行き、何気に振り向く。
そーしたら、遠くに酸ガ平の避難小屋が見え、その上の方に白いもんが・・・。

ズームしたら噴煙(水蒸気)の様で、よーく見ると数ヶ所から出てる。
観測設備も確認出来るから、以前から噴出してたのかなー。
西斜面からも煙が出てたなんて・・・、知らんかった。


モミジカラマツ(紅葉落葉松)/マルバシモツケ(丸葉下野)咲く木道


ハクサンシャクナゲ(白山石楠花)
福島県花のネモトシャクナゲ(根本石楠花=ヤエハクサンシャクナゲ=八重白山石楠花)には未だに出会えない。
でも、そのお陰でこれからもネモトシャクナゲを見つける楽しみと共に歩ける訳だから、「まっ、それもいいか。」

鎌沼のベンチで休憩
暗い時間だったけど朝飯は食ったはず、にも関わらず又腹が減る。
よって本日2度目の朝食。
早起きは三文の「得」、ばかりじゃないのかも?


休憩を終え、赤とんぼやチングルマ(稚児車)の穂にちょっと秋を感じながら姥ヶ原を散策。


散策とは言っても、ひたすらチングルマの穂を見て回るだけですが・・・・・。
これが大好きなもんで。(^_^;)
見るだけ見たら満足して浄土平へ戻ります。

ひっそりと桶沼
吾妻小富士の右手にあるので気付いて欲しい。



吾妻小富士に向かって下る。

大穴火口
「シューシュー」言ってる。


マルバシモツケ(丸葉下野)やハナニガナ(花苦菜)で賑わう登山道。



ヨツバムグラ(四葉葎)/マイヅルソウ(舞鶴草)/モウセンゴケ(毛氈苔)


天気予報が良い方に外れた浄土平へ無事戻る。
この後、久々に幕川温泉の吉倉屋さん(日帰り入浴¥500)まで移動して、「あ~極楽極楽~♪」
で、この時点でまだ12時前だったもんだから、十分遊んだ上に用事や買物まで済ませ、充実の一日でした。
早起きして行動すると時間が有効に使えるんだなー。
これを教えてあげたい、夏休みのラジオ体操後に朝飯食って、又布団に潜ってた小学生の自分に・・・・・。
もっとまともな大人になってたかもなー(後悔)。
行ってみた日 2017.7.22
この日の行程
浄土平⇒(50分)⇒酸ガ平⇒(35分)⇒一切経山(休憩55分)⇒(20分)⇒酸ガ平⇒(30分)⇒鎌沼(休憩30分)⇒姥ケ原(散策30分)⇒(35分)⇒浄土平
以上4時間45分(休憩1時間25分含む)の行程でした。

地理院地図(電子国土Web)より
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)一切経山
<感謝録>
●一切経山頂で会ったいわき市に単身赴任中の男性
本名御神楽岳の情報ありがとうございました。
●姥ケ原で会った男女ペア
チングルマの話が出来て楽しかったです。ありがとうございました。
●同じく姥ケ原で会った郡山市の男性
可愛いオコジョの写真&情報ありがとうございました。