七ツ森七薬師掛け ~アップダウンにあっぷあっぷ~
昨秋、朝日連峰の障子ヶ岳でお逢いした宮城の御婦人に教えて頂いた七ヶ森。
なんでも、七つの山にある薬師様を一日で巡れば、無病息災、更には願い事が叶うと伝わるそうな。
「行ってみたい」と思いつつ半年以上経ち、ようやく狭い世界で生きる自分の「GW=県外=宮城県」の公式に当てはまる好機が訪れ、七ヶ森へ行ってみた。
仙台市の西を通る国道457号を北上。泉ヶ岳への入口を経て、宮床ダムから大和町へ。
宮床ダムから約3.5kmで左にセブンイレブン、更に300m程行くと「七ツ森湖畔公園」の標識があるので左折。
国道457号から折れて約600m、「七ツ森遊歩道」、「信楽寺(しんぎょうじ)跡」の小さな案内板があるので右折(左の画像)。
その道を速度を落としながら更に約600m行くと、右奥にポコンと松倉山が見えて左に駐車場(20~25台、トイレ無、標高約50m)があります(右の画像)。
駐車して、準備して、「ふぁ~あぁ~ぁ~ぁ~~~」大あくびして、出発!
まずは七ヶ森で唯一ポツンと離れた最高峰の笹倉(大森)山へ(左の画像)。
車で来た道を途中まで歩き、更に朝の田園風景の中を歩く。
遠い・・・・・。
コサギ(小鷺)
連日の「○○サギ(詐欺)」、「××サギ(詐欺)」報道でイメージが悪くなってる感があるから少し気の毒。
人家が途切れ峠道に入り、信楽寺跡の駐車場から約4.7km、峠の所でようやく笹倉山への入口。
御門杉登山口(標高約200m)から、気持ち新たにスタート!
杉林の中を行く。/ニリンソウ(二輪草)
薄暗い姥坂(左)を登り、「姥坂の石」辺りまで来ると陽射し。
亀の子岩
ここ宮床地区への平安の願いが込められた岩。
近くに昼寝するウサギを探したが・・・、見つからん。
シュンラン(春蘭)/エンレイソウ(延齢草)
登って行くと四阿が建ち、国見ヶ崎の見晴らし台。
水を張った田んぼの向こうに仙台湾と牡鹿半島。
南西には南蔵王の眺め。
仙台市街地のビル群も眺められました。
後ほど伺う予定の(右から)松倉山、撫倉山、大倉山。
国見ヶ崎から少し歩くと赤い屋根の大森薬師堂が見えて、笹倉(大森山)山山頂!(標高506m)
1座目クリア☆
手を合わせ、御堂の右(北)側から下山。
南川ダム(七ヶ森湖)を目指し急坂を下りて行く。
カタクリ(片栗)ぞっくりの斜面(ほぼ終わり)/シラネアオイ(白根葵)
やがて杉林を歩き難波御門登山口(標高194m)へ。そこから直進(北)し旧車道を約300mで現在の車道へ。ここから再び舗装路歩きスタート。
中央の画像はヒトリシズカ(一人静)
泉ヶ岳(中)と北泉ヶ岳(右)
カエル賑わう季節。
直線車道は歩きにゃキツイ・・・・・、そんな中、橋(沢)銘板の励ましを受ける。
南川ダム(七ヶ森湖)と鎌倉山が近づく。
そして七ヶ森大橋を渡る。
あれ?ここって・・・・・、2年前の船形山の帰りに温泉入った後に通った道だ。あん時は近くの産直寄ったら、芋煮会の人、人、人で野菜全部売り切れだったっけなー。
鎌倉山
左から蜂倉(鉢倉)山、大倉山、撫倉山。
この時はまだ七ヶ森の怖さを知らずに歩いてた。鼻歌まじりで~♪・・・。
振り返ると、さっき登った笹倉(大森)山。
南川ダムから直ぐの公園でトイレ休憩。
看板にあるキャラは七ツ森を造った(伝説上)とされる「アサヒナサブロー」君。
大和町のサイト等によりますと、大男の朝比奈三郎は弓の稽古用の的山(矢喰山=やくらいさん=現薬莱山)を造るため、鹿島台辺りから土を運んだそうな。その際にこぼれた土が固まって七ツ森になったとさ、てな話(松島湾の土で船形山を造る際の土との説もあり)。
・・・・・この話って福島市の信夫山誕生の伝説と似てる。昔は恐竜クラスの大男があちこちに居たのかも知れん。
そんな話をしながら車道を行くと、鎌倉山に隠れてた「たがら森」が見えてくる。
笹倉山難波御門登山口から約4.3km、車道右側に「遂倉山入口(標高約70m)」の看板を見つけ、畦道を行く。100mほどで門扉(猪除けか?)に突き当り、「カチャカチャ」っとして中へ(閉め忘れ注意!)。次第に山道へ。
ニリンソウ(二輪草)/ヤマブキソウ(山吹草)
杉林を登った先が丁字路で、左のたがら森へ。
ここで本日最初の登山者(団体さん)と挨拶を交わす。
急坂を行くと、たがら森山頂(標高232m)。
ちょっと稀勢の里(現荒磯親方)似の石像が迎えてくれた。
居合わせた方に伺うと、ここたがら森は現在の七ツ森には含まれないそうです。
折り返して遂倉山へ。
分岐まで戻り、登り返して行くと丁字路。左に折れて少し行くと開けた場所へ。
遂倉(とがくら)山山頂!(標高307m)
2座目クリア☆☆
休憩の後、折り返して鎌倉山へ。
ギンラン(銀欄)/トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)とシロヤシオ(白八汐)
※花名は全部自信無し
枝葉の間から船形連峰が見え隠れ。
下りた所に地図には無い十字路分岐。そこを真っ直ぐ登り返して鎌倉山へ。
ツルキンバイ(蔓金梅)※自信無し/エイザンスミレ(叡山菫)
登って行くと大きな石碑。
「天保十?」年と読めたから、西暦1840年頃(江戸後期)のもんらしい。
(左から)大倉山、蜂倉山、撫倉山の三山が見え始めてくる。
鎌倉山山頂!(標高313m)
3座目クリア☆☆☆
陽射しは強くなってきたけど、涼しい風に救われて体調は問題無し。
「七薬師掛け」の由来が書いてあった。
「五穀豊穣無病息災家内安全 あるいはよい嫁さんが授かるように祈願した」とある。
「よい嫁さん」が引っ掛かる。ただの嫁さんでいいのに「よい」が付くとなんかねー。
たしか大和町と言えば吉岡八幡の島田飴が有名だけど、良縁にうるさい町なんだろうか?
蜂倉山へ向かう。
少し下りると右に七ヶ森湖への下り口、更にロープ付の急斜面を下りて十字路の分岐(きつねのカミソリ広場)。
地図では三叉路だったので少し迷った。
蜂倉山方面は真っ直ぐか左。直ぐ先で合流してた。
トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)
小さな沢を2本越えた先に蜂倉山への入口。
看板がちょっと高いかも。アサヒナサブロー用ですか?
涼し気な杉林を抜けて行くと傾斜が増して難所的な場所へ。
へつり気味に登り、その先は急登!
で、蜂倉(鉢倉)山山頂!(標高289m)
4座目クリア☆☆☆☆
登るのに結構苦労したなーと思った割には、七ヶ森中一番の低さでショック。
でも残り三座だし問題無いよと軽~く考え、軽~く飯食って大倉山へ。
大倉山の後に登る撫倉山を見て下りて行く。
ここも結構な急斜面。下りた先にはヤマブキソウ(山吹草)。
杉林の中の分岐(三叉路)に到達。
右へ少し歩くと目印発見。看板は無く、地図にも無いけど方向的には大倉山らしいので行ってみる。
チゴユリ(稚児百合)見つけて微笑んでたら、急登が現れて必死の形相で登る羽目に。枝やら根っこやら掴めるもんは全部掴みながら・・・・・。
登り切ったら緩やかになり、このまま横移動で山頂だなって思った瞬間、足に異変!
両太ももが痛みだした。感覚的には筋肉が平地に対応出来てない。上り下りを散々繰り返しておかしくなったのかもねー。( ̄▽ ̄;)
どーにか大倉山山頂(標高327m)
5座目クリア☆☆☆☆☆
時間的な余裕はあったから、焦ることも無く足を揉み解した。
思えば・・・、前日に「オクニョ」の最終回を見た寝不足が影響してるのかも。
「おのれー、オクニョめぇ、許さん!!!」(*`へ´*)
って、あんたはチョン・ナンジョンか!
※ドラマ見て無い人には意味不明で失礼しました。
足の様子を確かめながら撫倉山へ。
七ツ森では「当然の景色」と認識し始めたロープの急斜面を下りて、三叉路、十字路の分岐を直進。
あとはずーっとロープ、ロープ、ロープ・・・・・。
部屋に出現する蜘蛛をかなりやっつけてるから、切られないかとヒヤヒヤしながら登る。
七ヶ森大橋が見える。
あの橋を渡ったのは・・・・・、何日も前のような気がした。
そんなことを考えてたら、ハイ山頂!といつもなら展開するが・・・、
まだ登るらしい。
精神的にきついし、この辺りから体全体が怠くなる。もう完全に「疲れ」だねこりゃ。「あーあぁー」開き直って目先の一歩一歩に集中して登った。
登り切ると「蟻の戸渡し」と呼ばれるギザギザの稜線。現在は巻道だけど、ここで平坦な道に再び筋肉が痛む。
岩に腰掛け、揉み解して再スタート。
「蟻の戸渡し」を巻いた分は梯子で帳尻を合わせられる。世の中そんなに甘くないらしい。
ゴツゴツの岩場を歩き、左に見晴らし抜群そうな「天狗の相撲取り場」らしき所を見つけたけど、そこへ行く気力も無く前進。
やっとの思いで撫倉(なでくら)山山頂(標高359m)
6座目クリア☆☆☆☆☆☆
薬師様に手を合わせ、岩場にドカッと座り込む。「あー、しんど。」
大和町市街地(吉岡)
栗駒山(須川岳)
景色と風に救われた。
いよいよ最後の松倉山へ。
尾根道を下りると僅かに登り返す。その前後、左(東)斜面へ下りる道が2本ある。
2本目にロープが垂れ下がってたから、そいつを下りる。
やがて杉林に入り丁字路に辿り着く。
ここで左が松倉山なのに、頭の中にアバウトに入った地図と、前の尾根道から下る地図には無い分岐が混線し右が松倉山と判断して下りてしまった。
少し行くと女性が立ち止まってた。
「信楽寺跡へ直接戻る遊歩道に出たいのですがこの道ですか?」と尋ねられた。
その先を見るとロープはあるけどかなりの急斜面。女性は結局松倉山経由で戻ることにした。
・・・・・、この方にお会いしたことで道間違いに気付いた自分。ここまで来て最後の一座を逃して帰るとこだった。
杉林の分岐へ戻り、現在地を確認して松倉山へ。
松倉山
高度を下げて行くと丁字路の分岐に出て右へ。
平坦な道で足が痛む。辛い・・・・・頭の中に「コーラ」と「アイス」を浮かべて踏ん張る。
その勢いで登り返す。
色々あったけど、松倉山山頂(標高291m)。
7座全てクリア☆☆☆☆☆☆☆
・・・悲しいかな、特に達成感は無く、ただただ自分の非力さに落胆したよ。
ここで独り反省会を行いましたので、内容をまとめてみました。
・七ツ森を純粋に楽しむのであれば、2回、もしくは3回に分けて歩くのがよろしいかと。
・旧七ツ森(6座+たがら森)と笹倉山間は車移動がよろしいかと。
・複数人で行けるなら、各所に回送の足を確保するのもよろしいかと。
・松倉山から入ったほうが案内がしっかりしており迷わずに済むかと(今回のように反対側からだと次の山の表示が少なくて迷う)。
・ロープ、枝、根等を掴む箇所が多いので、グローブ、軍手等持参した方がよろしいかと。
・急斜面が多いので、下りられるかどうか考えて登りましょう。
・地図に無い分岐や道が多いので注意しましょう。
・登山の前日にドラマ等を見て夜更かしをするのは止めましょう。
・七薬師掛けをした方は、七ツ森の名を汚さぬためにも、一年間の無病息災に努めましょう。
三日後には忘れる頭でひとしきり反省したので帰りますか。
少し南へ移動したら一等三角点があって、ちょっと嬉しかった。
後はロープ付の急斜面を下り、マイカーの待つ駐車場へ戻っておしまい。
なんだかんだ言ってますが、年に一度はこうやって自身の体を痛めつけ、痛くなったところが弱い所だから、そこを鍛え直せば成長できるのかなと考えております。
まっ、次の日起きたら、首から下、つま先まで全部痛いんですけどね・・・・・。
行ってみた日 2019.4.29
この日の行程
信楽寺跡⇒(60分)⇒御門杉口⇒(50分)⇒笹倉山⇒(30分)⇒難波御門口⇒(50分)⇒遂倉山入口⇒(30分)⇒たがら森⇒(25分)⇒遂倉山(休憩15分)⇒(25分)⇒鎌倉山(休憩5分)⇒(60分)⇒蜂倉山(休憩20分)⇒(45分)⇒大倉山(休憩30分)⇒(50分)⇒撫倉山(休憩10分)⇒(55分)⇒松倉山(休憩20分)⇒(30分)⇒信楽寺跡
以上10時間10分(休憩1時間40分含む)の行程でした。 歩行距離約18.0km
地理院地図(電子国土Web)より
地理院地図(電子国土Web)より
<参考> 各ポイントの標高差を算出してみました。手書き、手計算によるデータなので御了承下さい。
信楽寺跡(↑456m)笹倉山(↓436m)遂倉山入口(↑162m)たがら森(↓77m)鞍部(↑152m)遂倉山(↓102m)鞍部(↑108m)鎌倉山(↓213m)鞍部(↑189m)蜂倉山(↓109m)鞍部(↑147m)大倉山(↓114m)鞍部(↑146m)撫倉山(↓197m)鞍部(↑129m)松倉山(↓241m)信楽寺跡
登り↑1,489m 下り↓1,489m
地理院地図(電子国土Web)より
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)信楽寺跡
<感謝録>
●たがら森、遂倉山で会った団体さん
皆様にお声掛け頂きありがとうございました。また、リーダー格の男性には道を教えて頂き感謝申し上げます。
●蜂倉山で会ったご夫婦(多分?)
道のこと、更には危険個所等、丁寧に教えて頂きありがとうございました。
●撫倉山の下で道間違いに気付かせてくれた大崎市の女性
本当に助かりました。また、松倉山での世間話で元気が出ました。ありがとうございます。
●松倉山~信楽寺跡を歩いた大崎市の男性
独りトボトボ帰る所を楽しい会話に救われました。感謝申し上げます。