春の南蔵王(不忘山から屏風岳) ~雪庇とドボン~
例年なら5月下旬から6月上旬、花の季節に歩く南蔵王。
今年は一足早目に行ってみた。
毎度毎度の白石スキー場(標高約840m)から。さっそく準備してさっそく出発!
青麻山の向こうに太平洋が光る。
この後、ゲレンデ終盤でお会いした方と山頂まで御一緒させて頂く流れとなりました。
登山道は、ユキトリ沢付近から雪が有ったり無かったりで通常より少し時間を要する程度。凄く歩き辛いという状況でも無かった・・・・・朝のうちは。
弘法清水を過ぎると、残雪の直登が続く。
10分の休憩を挟んで臨んだのにバテバテ。先週の疲れが抜けて無いのか。
登り切り、横移動区間で一息。
御一緒させて頂いてる方との会話で疲労軽減、体力復活!
不忘の碑とカエル岩が確認出来る辺りになると、道上の雪は消えた。
で、カエル岩到着。後方に吾妻、安達太良連峰。
高度を上げ「白屏風」を眼前にして、「来て良かった~!」
不忘山(御前岳)山頂!(標高1,705m)
後方に飯豊連峰。
三角点、後方に朝日連峰南端の山々(柴倉山辺り)。
左後方に飯豊連峰、その手前に番城山、更に手前は二ッ森山。
景色の後はコーヒーの時間。
ここまで話しながら登ってきた方と更に会話を弾ませた。
40分後、その方とお別れして別々の道へ。
「ありがとうございました。」
僅かに風のある稜線を南屏風へ向かう。
道はほぼ乾燥状態。ただこの時期は整備前の為か、鎖の支柱が安定してない。あまり頼らないほうがよろしいかと。
朝日連峰を横目で見ながら登る。
コガ沢へ落ち込む雪渓の向こうに水引入道山。
南屏風山頂手前から残雪へ乗る。その先には・・・・・、
屏風岳へと続く雪庇が・・・・・。
初めて見る光景にきょとんとした。口を半開きにして。
雪庇の上に踏み跡が続くもそちらへは進まず、ビビリはつくづく損だなーと思いながら南屏風山頂へ。
南屏風岳山頂(標高1,810m)
山頂に雪は無く、屏風岳へ続く夏道も出ていたので足を延ばす。
熊野岳。左(西)には月山。
月山。手前に冷水山。
道は少々の泥濘や鞍部に残雪はあったものの、問題無く歩けた。水引入道への入口を過ぎる辺りまでは・・・・・。
水引入道への分岐を過ぎ少し行くと再び雪庇の上へ。
何事も慣れが肝心と言い聞かせながら進んでみた。
右に後烏帽子岳。その後方に泉ヶ岳から続く船形(御所)連峰。
肉眼では先週歩いた七ヶ森や栗駒山(須川岳)も確認。
視覚的にギザギザは怖い。
屏風岳の雪庇は最長でどのぐらいせり出すのだろうか?
崩れたらどのぐらい下まで落ちるか?
背筋が「ゾクッ」としたので、とっとと歩く!
「ズブッ、ズブッ」結構沈む箇所もあったりして心地悪い。
左の「陸地」に夏道を見つけて歩み寄ろうとすると、「ズボッ!」っと踏抜き、ドッと冷汗・・・・・。
雪厚が薄いのは陸地との境目であることを知る。なので直進。
※この時点で夏道に踏み跡は無く、あちらはあちらなりに歩き辛い状態に見えました(個人の感想)。
水引入道山(右)、馬ノ神岳(左)とその奥に青麻山。
可能な限り手を上へ延ばし撮影。へっぴり腰で・・・・・。
正面に北蔵王、二口山塊の山々。
遥か彼方に神室連峰(山地)も確認。
見覚えのある場所が左手に。
まさか山頂へ東側からお邪魔するとは思わなかった。
屏風岳山頂(標高1,825m)※三角点(一等)は1,816.8m
いつもとは違う緊張感で歩き、肩を解しながらの休憩。
15分程して落ち着いたら、ん?風が変わった事に気づく。
この日は朝こそ寒さを感じたものの、日の出と共に気温が急上昇。山の上もそれは同じで、残雪に囲まれても暖かさを感じてた。
が、更に暖かい「もわっとした風」を感じた。何が起こっても不思議じゃない山の上で不安が芽生え、戻ることに。
※この日(2019.5.5)の白石市の最高気温 28.6℃
「雪庇の上ももう慣れたよー」と言い聞かせながら、足早に戻る。
少し狭くなる箇所が怖い。
来る時、こんなところ通ったっけ?
怖さが伝われば、と思い撮った一枚。
脱出して南屏風へ。
南屏風岳
爆裂火口だったのがイメージ出来る残雪具合。
気付いたら夏道に入るポイントを逃し、再び雪庇へ乗ってた。
前方に先行者を見つけ、根拠の無い安心感を携え直進。
不忘山
先行者は雪庇の向こうに見えなくなった。
先細る雪庇に不安再び・・・・・。
これって亀裂ですか? 不安膨らむ。
振り返って屏風岳。
・・・・・景色が見たくて振り返ったわけじゃ無い。
戻るの、進むの、どっちが近いか確認しただけ。
結果、前進。
ちょっとしたピーク越え。
踏抜き跡が多い。更に外側から亀裂・・・・・不安もピークに。
どーのこーの考えてもしゃーない!開き直って前進。
無事に雪庇を歩き切ったものの、緊張からか喉がカラカラ。
※他人様から見たらただの残雪歩きを誇張して書いてるだけじゃんと思われるでしょうが、ビビリ且つ経験浅い私からするとかなり怖い体験でした。このような場所を歩く際には自己判断、自己責任でお願いいたします。
南屏風の山頂へ立ち寄り休憩に。
朝日連峰を凝視して気持ちを落ち着かせた。
胃袋の緊張はまだ解けないので、不忘山へ戻ってから昼飯に。
春物?冬物?まだ悩んでいる様子の不忘山。
近づくと表情変わる不忘山/ミネザクラ(峰桜)の開花はもう少し先
振り返って南屏風を見上げる(かなり拡大してます)。
さっきまであの上を歩いてた。
今晩、あそこから落ちる夢見なきゃいいけど・・・・・。
不忘山(御前岳)山頂へ戻り、遅~い昼飯。
まだ休憩されてる方もいたので、最後の一人になるまでのんびりしてこうと思ってた。
けど、今日の下山は難行になると予想してたので、食うもん食ったら下山開始。
「お世話になりましたー。」
下山に集中!
見た目怖くても、雪の多い区間はまだ安心。
(画像は慰霊碑のあるガレ場付近)
こんな場所が厄介。雪は崩れる。土手は滑る。
水の中の石を踏んで進む。意外と濡れない。
朝には想像もつかない水量。
しかし整備された登山道のお陰で、濡れずに歩ける。
但し、スリップと浮石には注意!
踏抜き跡を見る度にプレッシャー。
これには多少の運も感じるから、日頃の行いを信じて歩く?
ここまで、大きな踏抜きもせず、浸水することも無く、どーにか集中して歩いてた・・・・・。
※この日は暑さのせいか午後になり羽虫が増え、集中力が途切れ途切れ。今後の気温によっては、虫対策をお忘れなく。
アザレア平に「春の小川」出現。
ここも工事のお陰でそれほど長い難所とはならない。
※この後、僅か1~2秒で起きた出来事を大袈裟に書いた場面がありますのでご了承下さい。
もう大丈夫だねーと思った頃、「ザァーーーーー!」っと一際大きい流れの音が近づく。
進んだ先には、ユキトリ沢。
朝の時点より明らかに沢幅が広がっていた。
ザックを背負って跳ぶには微妙な距離・・・・・、多少濡れても沈む岩に足を運んで渡れば越えられそう、と判断。
どの岩に足を下ろすか吟味しようと前へ。もう少し前へ。じりじり・・・・・、
「ドサッ!」、次の瞬間右足の下の陸(雪)が無くなった。
「やばっ!」っと思ったら踏ん張ろうとして、出す必要のない左足が前へ。
そこは空中。左足はそのまま冷たい水の中へ「ドッボーン!」
沢の流れる音が掻き消される程の音が辺りに響いた(気がした)。
仕方ないからそのまま渡り切ろうと、右足を運ぶ。
「ゴキッ!」運悪く乗せた石が動く。足首が・・・・・(当日は大丈夫も、翌日、足首からかかとにかけて痛み、現在湿布で様子見中)。
対岸に着いたら、両足とも膝から下がズブ濡れ。
「あーあ・・・・・」ここまで集中して歩いてきたのに。
現場を振り返る。
画像左上の雪が崩れてる。あれが原因。
沢幅を無駄に広げてしまい、後続の方にはたいへん申し訳無く思っております。本当にすみませんでした。
もしもこれが雪庇の足元だったら、濡れただけでは済まされなかった、と思う事にして下山完了。
派手な水音にショウジョウバカマ(猩々袴)も目を覚ます、南蔵王の春でした。
行ってみた日 2019.5.5
この日の行程
白石スキー場⇒(92分)⇒弘法清水(休憩11分)⇒(74分)⇒不忘山(休憩41分)⇒(32分)⇒南屏風岳⇒(39分)⇒屏風岳(休憩16分)⇒(38分)⇒南屏風岳(休憩23分)⇒(29分)⇒不忘山(休憩32分)⇒(39分)⇒弘法清水⇒(69分)⇒白石スキー場
以上8時間55分(休憩2時間3分含む)の行程でした。 歩行距離約13.3km
※上記の地図は夏道を手書きで表しただけで、今回のルートと一致するものではありません。ご了承下さい。
国土地理院のサイト⇒地理院地図(電子国土Web)標準地図(25000)屏風岳
<感謝録>
● ゲレンデ途中から不忘山頂まで御一緒した福島市の男性
野営の話や富士山の話等、とても楽しく聞かせて頂きました。お陰様できつい登りも乗り越えられました。お世話になりありがとうございました。
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